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ゲームレビュー:DIMENSION REIGN 面白いけど印象に残らない淡白なカードゲーム風ローグライク

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こんにちは。譲治です。
今回は『DIMENSION REIGN』という『Slay the Spire』と似た見た目のゲームを遊んでみたので、その感想を書いていこうと思います。
見た目や要素は似ているのですが遊んでみると別のゲームだったので、そのあたりを説明していくつもりです。

正直に書いてしまうと……面白いかつまらないかであれば面白いのですが、とても面白いかと聞かれるとそこまでではないという感想になってしまう本作。
どのような箇所が面白く、そしてどのような箇所が物足りなかったかを色々と書いていきたいと思うのでぜひ読んでもらえるとありがたいです。

ちなみに現在アーリーアクセス中ですので、今後どんどんアップデートを重ねて面白くなっていくゲームだと思っています。

DIMENSION REIGNってどんなゲーム?


Dimension Reign - Early Access Launch Trailer

カードゲームのようにカードを集めて自分を強化しながら進んでいき、ゲームオーバーになるとすべてを失い最初からとなるローグライクカードゲーム。
『Slay the Spire』を始めとして、様々なゲームが登場しています。
当ブログでも『Slay the Spire』はもちろん、『Pirates Outlaws』や『魔法少女マホのスイーツ争奪大作戦!』などのゲームのレビューを書いてきました。

www.pastime-log.com

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この手のゲームのように見せかけて、実は違うタイプのゲームだった。
そんなゲームが今回紹介する『DIMENSION REIGN』です。

上の動画を見てもらえればわかると思うのですが、見た目は見知ったローグライクカードゲーム。
ですが、実際に遊んでみるとかなり別物という印象になるんですよね。

ではどのような箇所が別物なのか、特徴的なシステムの説明をしながらつらつらと書いていきたいと思います。

ちなみにまだ難易度ノーマルを数回クリアしただけなので、ハードになるとまた違った感覚になるのかもしれません。

Breakシステム

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うまくいくと敵に一度も攻撃をさせずに一方的に攻撃を続けることができる。
そんな仕組みが「Break」です。
これを使いこなせるかどうかでこのゲームを楽しく遊べるかどうかが変わってきます。

DIMENSION REIGNでは、プレイヤーが攻撃できる回数が決まっています。
その回数は2回なんですが、敵の数を考えると全然攻撃回数が足りないんですよね。
なにもせず普通に攻撃をすると相手の攻撃でがしがし削られていく……。
そんなことにならないために必要になるのがBreakです。

敵のHPバーを1本削り切ることができるとBreakが発生。
その状態になると更に追撃を行うことができるようになります。
Breakでの攻撃はプレイヤーの攻撃回数を消費しないのですが、そこで更にBreakを発生させると再度攻撃回数を消費せずに攻撃を行うことができるんですよね。
序盤はこのブレイクチェインの回数が限られているのですが、段々と伸びていき、最終的には1回の攻撃で6回くらいの攻撃が可能に。
攻撃回数制限とはなんだったのかと思えるくらいの攻撃回数です。
このターンが拡張されていく感じが、なんとなく武の道の達人たちが刹那の間に複数の行動を行うような、感覚が引き伸ばされる感覚をゲームにしているようにも感じるんですよね。

また追加の攻撃ができるというだけでなく、Breakされた敵はスタン状態になるため、行動を取ることができなくなります。
行動が取れないということはすなわちこちらがダメージを受けないということ。

これを駆使して敵を殲滅していくのがDIMENSION REIGNで狙うべき基本的な戦略となります。

ただ、これで発生するのは敵のHPバーの数字を見て適切な武器を選択肢続けるソリティアでもあります。
ずっと俺のターンが気持ちいいのはその通りなんですが、敵にそれを阻止するような手段がなく、こちらも選択の種類が少ないため、結局同じことを続けるだけになりがち……。
自分側の行動の種類と敵の行動パターンの(実感の)少なさが原因なんじゃないかと思うんですよね。
状況によってやるべきことややれることが異なることで「自分が良い手を選べた」を作ることができると思うので、それを今後増やしていけると面白くなるのかなと思っています。

 

レリックとカルマによる特殊効果の発生

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ローグライクカードゲームの重要要素として存在するレリック。
これを複数持つことでデッキ内容によらず一定の効果を得ることができる、というのが一般的かと思います。
DIMENSION REIGNでもレリックがあるのですが、やはり少し異なるんですよね。

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DIMENSION REIGNでは手に入れたレリックは装備しないと効果を発揮することができません。
また、レリックには5種類のタイプが有り、レリック単体でも効果があるのですが、タイプを揃えていくとセット効果が発生します。

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これを考えながらレリックを装備していくことで、理想のビルドを追い求めていくような面白さを感じることが可能です。

ただ、レリックの装備枠の拡張が比較的容易なんですよね。
そこまで考えなくても装備出来てしまいますし、セットボーナスも発生させることが出来ます。
この部分での面白さは、タイプは合わないが強い効果のレリックを入れるのか、それとも不要な効果ではあるがセット効果が発生するレリックを選択するのか、みたいなジレンマだと思うんですが、それが無い……。
少なくとも感じられない。
フラッシュアイデアではありますが、外せなくしてしまったり外すと壊れてしまうような仕組みにしてしまうことでジレンマを強化するとかあってもよかったのかもしれませんね。
まぁこちらについてはノーマルでは簡単だった枠の増加がハード以降で変わるのであれば、それでだいぶ感覚が変わるんじゃないかとも思っていますが。

 

装備武器によるビルド

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DIMENSION REIGNではアクションカードを集めていくのではなく、使用回数制限のある武器を集めて戦っていく形式をとっています。
使用回数制限に到達した武器は戦闘中に壊れてしまい、そのカードはゲームから除外されてしまいます。

武器はバトルやショップで手に入れて、それを限られた枠の中で装備していく形式なので、デッキを作るという感覚ではありません。
カードを集めてデッキを構築するのではなく、手札を作るような感じが近いのかもしれませんね。
ビルドといえばどちらもビルド要素ではあるのですが、ローグライクカードゲームにある「デッキの不安定性」を制御するようなゲームではなく、安定するデッキを作って、それを制御するようなイメージが近いかと思います。
正直に言ってしまうと圧縮したあとのデッキみたいな感覚でした。
面白くないわけではなく、理想の装備を揃えていく面白さはあるにはあるのですが、あまり思考リソースをそこには使わない印象です。

それよりも、使用回数と制限のある装備品の枠をどのように管理するかを考えることが多かったんじゃないかなと。
壊れそうな武器を残しておくのか、それとも武器を使い切って新しい武器をそこにいれるのか、それとも修復して使い続けるのか、というような部分を、進行ルート・マスの選択で考えるゲームという感じですかね。
ただ、バトル後の入手だけでもそれなりに武器を集めることができるため、出し惜しみをする必要性もあまり感じられませんし、そこまでリソース管理をしっかりしないといけないゲームというようにも感じられませんでした。

 

全体を通して

面白かったところ

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すべての敵を気絶させるためにBreakを決めていき、Breakを重ねるたびにダメージ量が上がっていく攻撃で高ダメージを叩き出した瞬間は間違いなく気持ちの良い体験だったと思っています。
上でも書いたとおり、この瞬間のために……みたいな部分が弱いのがネックではありますが、よい結果を出すことや、他のタイミングでは出し得ない結果を数字というわかりやすい形で提示された瞬間は気持ちいいので、ぜひこの気持ちよさを削らずにもっともっと面白くしてもらいたいと思いますね。

 

気になったところ

ランダム性はあまり感じられませんでした。
ローグライクにもとめていたものとはちょっと違ったのかも……。
デッキに変化が少なく、敵の行動も変化が少なく感じたので、それが原因なんですかね。

それと、「壊れ性能」の武器も分からなかったです。
めちゃくちゃ強い武器を知りたいというわけではなく、もっと尖った効果の武器を使ってみたかったという意味で。
DIMENSION REIGNでは基本的に武器はどれもそこそこ強いので、差を感じるのが難しかったです。
例えば『Overdungeon』はものすごいインフレを目指すゲームで、そのためにカードがデザインされているので、カードを見ていて「こういうことができそう」って思えるのですが、それがなかったと言いますか。

 

全体を通して言いたいことをまとめると、遊びとしては面白いはずなのに、体験として面白かった箇所がないってことなんじゃないかと思います。
これが良かった!面白かった!と印象に残る場所がないんですよね。
「うわ!なにこれ勝てないわ!」も「最悪!運悪すぎ!」も「このコンボ最強!気持ちよすぎ!」も特にない……。
面白かった体験の共有や説明が難しく、一言でこれが良かったにならないと言いますか。

 

さいごに

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色々書いてきましたが、面白くなるための要素はありますし、体験としては面白いと思っています。
なにせ初回プレイで気づいたら3時間くらい経ってましたからね。体感1時間もなかったのに。
ただ、少なくとも今のところはこのゲームを象徴するような特徴的なものがないので、「最高!」とは言えないのかなという印象です。

でもこれノーマルだけでしかプレイしていない状態な自分のせいでもあるのかなとも思っていまして、近々ハード以上の難易度でも遊んでみたいと思っています。
まぁそれで面白さの実感が変わるのであればノーマル難易度なんて不要なのでは?という話にもなるんじゃないかとも思いますが。

 

現在アーリーアクセス中の本作。
まだまだ伸びしろがあると思いますし、これからどこまで面白いゲームになることができるのかが楽しみですね。

 

追記:簡単にクリアするためのレリックについて記事を書きました。

www.pastime-log.com