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ゲームレビュー:シチズン・スリーパー 宇宙の辺境で実際に生きるようなサバイバル感のあるテキストベースのRPG

こんにちは。譲治です。
最近のゲームログでもプレイ状況を紹介していた『Citizen Sleeper』。
SF小説を読むような、その世界に身を置くような、そんな体験ができたゲームでした。

今回は『Citizen Sleeper』がどんなゲームだったのか、どのような体験だったのかを紹介していこうと思います。

Citizen Sleeperとはどんなゲームなのか?

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デジタル化された人間の精神を有する疑似生命体「スリーパー」。
もともと企業の所有物だったあなたは、何らかの手段でその束縛を抜け出し、宇宙の辺境にある荒廃したステーションに流れ着いた。
この辺境の地で生き延びるためには、友人を見つけ、生活費を稼ぎ、対立する派閥間で上手く立ち回らなければならない……。

物語は主人公であるスリーパーが何も持たずに「アーリンの瞳」にたどり着いたところからゲームは始まります。
最初にやらなければならないのは寝床を見つけること、食料を手に入れること。そして、食料などの必需品を買うためにもお金を稼ぐこと。
その日を生き抜くために働きながら、人との出会いを通じて、この特殊な宇宙ステーションでの生活を送っていくのです。

この世界の1日である1サイクルが始まると、まずプレイヤーにはアクションダイスが配られます。
もらった時点でダイスは振られた状態。この出目を活用してアクションを実行していくことに。

他にも意識しなければならないのが状態と活力です。
状態が落ちていくと、朝もらえるダイスの数が減っていき、活力が少なくなると状態の減る速度が速くなっていきます。

これらのリソースを管理しながら、ADV的に人との会話を繰り返し、アクションを行い、その日その日を生き抜きながら目的達成へと進んでいく
『Citizen Sleeper』はそんな少し変わったゲームです。

まぁ最初は「ダイスを使ったテキストベースのRPG」くらいの捉え方でも良いと思います。プレイしていくと、アドベンチャーかも? サバイバルかも? というように、1つのゲームジャンルに捉えきるのが難しいゲームだと気づくと思いますが……。

プラットフォームはSteam、PS4/5、Xbox、Switchなどで遊ぶことが可能。
クリアと思われるところまでは12、3時間くらいで到達できると思います。

しっかりとしたSF作品

プレイしていて感じたのが、SFとしての濃度
テキストベースだからというのもあるかもしれませんが、読み進めると「SF小説を読んでいる」感覚があったんですよね。

前の項目で説明したように、主人公であるスリーパーは擬似人間とでも言うような「非人間」とされる存在で、エッセンアープという会社の所有物、という設定。ソルハイムという企業と、その下請けとして生きていく人々。自動販売機に入ったAIに、多くの労働者を雇って行われる大型移民船などなど。貧富の差も激しいサイバーパンクな世界を描いた特別な宇宙ステーションと、それを体現する様々な登場人物たち。そしてその物語……。

読んでいると世界観の密度に圧倒され、この世界をもっと知りたくなってしまいます。

登場するキャラクターごとにイベントが進行していく仕組みなので、場合によっては複数の話が並行して進んでいくことも。
入植船の切符を求めるレムとミナの手伝いをしつつ、研究者のリコのためのアイテムを探しに行って、屋台でご飯を出してくれるエンフィスが求めているキノコを発見したらそれで料理を作ってもらいつつ、裏側の世界のハンターとの死闘を繰り広げる……。
同じ世界感をベースにした短編集や群像劇を読んでいくような面白さを感じることができましたね。

ADVでありサバイバルなゲームシステム

スリーパーが最初に目指すのは生き残ること。
そのためにはなんとしても薬を手に入れなければなりません。

ただ、その薬を手に入れるには購入するしかなく、そのためにはお金が必要。
お金を稼ぐためには稼げるアクションをする必要がありますが、空腹になると状態が不安定になっていくのでコンスタントに稼ぐことが難しい。
食事をして活力を上げたいが、そのためにもお金が必要。

というように、自転車操業でアーリンの瞳で生活をすることになります。

お金を稼ぐ方法も複数あるので、どれを選ぶのも自由。
そして当然、稼ぐためのアクションをすると、そこで新しいキャラクターとのコミュニケーションが開始され、その人の物語が描かれていくことに。

物語を読むという観点ではテキストアドベンチャーなのですが、その前段階ではサバイバル染みた生活があり、また仕事を進めることでスキルを伸ばしていくこともできるのでRPG的でもある……。

この少し変わったゲームシステムと、前の項目であるSF感がうまいこと混ざり合っていると感じています。
スリーパーとなって、多くの人達と交流しながら宇宙船のコアを作ったり、賞金首を追い返したり、キノコ料理を食べたりしながら、その日その日をなんとか生きていく。そういう物語をプレイヤーとして選択して進めていくことで、この世界を生き抜く体験をすることができる。

ただSF小説を読むだけではなく、実際に生き残るのが大変で、いろんな人とのコミュニケーションの中でなんとか生きる道筋を見つける必要があるゲーム体験とセットになることで、「体験するSF」として成立しているのだと感じましたね。

さいごに

以前から気になってはいたものの、プレイしていなかった『Citizen Sleeper』をプレイしてみました。
実際にプレイしてみると、そこにあるのはゲームだからこそ体験できるSFだったのだと思います。良し悪しではなく、小説や映画とは異なるSF体験。実際にその中に居られる感覚を得られる、そんなゲームでした。

まだ発売時期は未発表ですが、続編である『Citizen Sleeper 2: Starward Vector』が現在開発中とのこと。
今年の2月時点で、あと1年ほどかかるという情報なので、年末あたりに追加の情報発表があるかもしれません。

それまでに遊んでおくというのもありかもしれません。
複数プラットフォームから選べるので、好きなハードで遊んでみてくださいね。

アドベンチャー系ゲームのレビュー記事はこちら

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