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実写映画『キングダム2 遙かなる大地へ』はアクション映画としてなかなかしっかり作られた良作でした


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最近CMでも見かけることが増えた『キングダム2 遥かなる大地へ』。
マンガ原作実写映画の中でもかなり力の入ったアクションで、前作も評価が高かった映画の第2弾となります。

役者は前作から継続で、主役の信は山崎賢人、秦王政は吉沢亮。
今回重要な役となる羌瘣は清野菜名。麃公には豊川悦司が配役されています。
また、強烈な人物でもある王騎将軍役は今回も大沢たかおが続投。
多少原作のキャラクターから見た目の面で外している配役もありますが、人物像としては原作を思い浮かべることができ、いいメンバーを集めていると感じられます。

そんな『キングダム2』を見てきたので、ネタバレしすぎない程度に感想を書いていこうと思います。

実写映画『キングダム2』のお話の流れ

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前作『キングダム』では王弟である成蟜の反乱を鎮圧し、政が秦王として玉座を奪還したところで終わっていました。奴隷として育った信が成長し、天下の大将軍を目指す第一歩だったのですが、全体から見るとプロローグに過ぎません。反乱自体はそこまで規模の大きいものではなく、他国へも情報が伝わることはありません。宮中で起きた事件ではありますが、言ってしまうとそれだけです。その後の重要人物となる呂不韋も動くことはありませんでしたし、政と信の出会いと紹介となるお話だと言えるでしょう。

では、今作『キングダム2』はどうなのか?
蛇甘平原という平地での戦争を主軸にしたのが本作です。戦争ということもあり、前作よりも多くの人物が登場します。
また前作では政の味方となり戦ったとは言え、信は戦争を経験したわけではありません。そんな信の初陣となるのがこの蛇甘平原での魏との戦争となるのです。

政の目標である『中華統一』。
その第一歩として、隣国である魏への侵攻が行われることになり、徴兵に乗る形で信が参戦することになります。天下の大将軍を目指しており政のピンチを救った信ですが功績はまだまだ足りません。そのため、いち歩兵として他の歩兵とともに危険な最前線へ赴くことに……。

というのが『キングダム2』のイントロ。
その後は原作同様、魏の戦車との戦いや平原の重要拠点である丘の奪取作戦、そして王騎の登場と麃公・呉慶の将軍対決へと話が進んでいきます。

原作と異なるポイント

引用:映画『キングダム2 遙かなる大地へ』公式アカウント

原作と異なる箇所として、蚩尤の話がだいぶ早い段階で入ってきます。さらにその流れで羌瘣の過去話も語られることに。本来であればまだ先の蚩尤・羌瘣の過去話。パンフレットを読むと脚本としても参加している原作者の原泰久が「平原での戦にフォーカスした本作を映画として成立させるためにドラマ要素が必要だと考え、羌瘣の話を取り入れることにした」というような内容をお話をされており、バランスを考えての結果だということがわかります。

実際映画では羌瘣が重要な人物として活躍するわけですが、原作の展開だと羌瘣が何を目的にしているのかわからないまま戦が終わってしまいます。そのため、映画として本作を見るだけでもある程度わかるようにするためには、あってよかった変更だと感じましたね。

ただ、導入としての「蚩尤がいれば……」はさすがに唐突すぎる……。
もう少し自然な導入はできんかったんやろうか、というのが正直な感想です。

良かったポイント

引用:映画『キングダム2 遙かなる大地へ』公式アカウント

まず最初に書きたいのは、アクションシーンについて。
前作時点でもアクションに力が入っており、邦画としてはかなりクオリティの高いアクションが魅力的でした。今作ではそれがグレードアップ。アクションのキレが増したようにも思えますし、何よりアクションシーンが多く、参加する人数も多い。殺陣の構成だけでもかなりのパワーを割いて作っていることが想像できます。

信の特徴的なシーンと言えば、上の画像のような構えと大きく跳躍して斬りかかるところだと思っているのですが、それらはしっかりと描きつつ、更に馬を使ったアクションも追加されていました。

また、今回登場する羌瘣のアクションはかなり独特。蚩尤の戦い方である巫舞を表現するために清野菜名とアクションチームがトレーニングを重ねたようです。

ワイヤーアクションを駆使するシーンも多く、信とはまた異なる、まさに舞のような戦い方ということもあり、アクションシーンが続いても別の味わいがあって飽きることなく見ることができたのも良いポイントだと感じましたね。

引用:映画『キングダム2 遙かなる大地へ』公式アカウント

それ以外だとやはり千人将である縛虎申が最後かっこよくてたまらなかったですね。序盤は面倒な上司というような描かれ方ですが、それは秦の勝利へとつなげることを最優先に考えていたから。そのための犠牲はすべて自分が背負うという戦い方で戦場は苛烈を極めるのですが、それでもひたすら前へ進み続ける姿は信の意識に強く影響を与えます。

引用:映画『キングダム2 遙かなる大地へ』公式アカウント

そしてその戦いは最後の麃公・呉慶の将軍対決へとつながっていくことになります。

麃公も最初は何を考えてるんだこの将軍は……という描かれ方なのですが、将軍たる理由が示されるような戦いで、見るものの心を掴むこと間違いなし。戦場に生まれ落ち、戦場で生きてきた麃公の戦場把握能力と戦い方は本能型とも言われ、敵である魏の将軍、呉慶の知的な戦い方とは真逆。その2人の将軍が行う一騎打ちは将軍という者の立場やあり方が示されるような勝負だったといえます。

原作から変更した箇所がありつつも、全体の流れは変えず、魅せるべきところはしっかり魅せていく作りで、原作同様熱くなれるところはしっかり熱くなる映画でした。アクションもかっこいいし、規模がでかいしで、今後も期待が高まります。

さらに、信の成長の兆しのようなものを感じられる演出になっていたのも印象的です。大将軍と呼ばれるような猛者が持つ能力を実際に目にすることで、「天下の大将軍」になるために自分に足りていないものを自認していく様子はキングダムという大きな物語で着実に前へ進んでいく信の本当の意味での第一歩となっているように感じられました。
そう考えると前作『キングダム』では奴隷から成り上がるための道筋を知るための話であって、マイナスからスタート地点に立つまでの話だったと考えることができます。なので本作ではスタート地点に立った信の最初の一歩の話となるわけです。

気になるポイント

引用:映画『キングダム2 遙かなる大地へ』公式アカウント

さて、全体的に高評価の本作ですがやはり気になる箇所もあります。
特に気になったのが「汚れ」です。

前作『キングダム』でも気になった箇所として、女性キャラ(河了貂、楊端和)の肌が一切汚れていないというものがありました。山や地下を進み、戦場で敵兵を倒していく話にもかかわらず、女性キャラは一切汚れることがありません。隣に立っている信は服だけでなく、全身傷だらけの汚れだらけなのにも関わらず、です。この違和感の残る状況に邦画の良くないところが強く出ているように感じたのを今でも覚えています。

本作ではその違和感を羌瘣が担っています
羌瘣の服装は白い部分が多いのですが、砂埃の中でも血しぶきのなかでも、白い衣装が汚れることはありません。顔などに汚れを入れた箇所はありましたが、それでも服装は綺麗なまま……。

折角大人数使って迫力のある戦いを作ったとしても、この非現実感のせいで一気に興醒めしてしまいますし、すごいもったいない……。コスプレ感という話にもつながる部分だと思っていて、どうしても浮いてしまうんですよね。
その世界で実際に生きている感を出すためにも、実際にいたらどうなるのかを意識して表現してほしいと強く感じました。

実写映画『キングダム3』

引用:映画『キングダム2 遙かなる大地へ』公式アカウント

映画を最後まで見るとエンドクレジットで『キングダム3』の映像が流れ、最後まで残っている人たちからざわつきが。
中心となっていたのはどう見ても王騎将軍。原作の流れで考えると、王騎将軍が総大将として戦う馬陽防衛戦の話になりそうです。馬陽防衛戦では、王騎の先を見越した戦い方にただの将軍ではなく天下に名を轟かせた大将軍のあり方を知り、そして成長していくきっかけを得ます。
王騎と趙の大物である龐煖の戦い、そしてその結末に、原作を読んでいて衝撃を受けたのを今でも覚えています……。

ただ、これで原作16巻なので、現時点で60巻以上出ているキングダムの物語においてはまだ序盤。最後まで映画をやるのは難しそうな気もしますよね……。
『キングダム3』は2023年に公開予定のようなので、その最後にまた情報が出てくれることを期待しておきましょう。

さいごに

引用:映画『キングダム2 遙かなる大地へ』公式アカウント

原作を再現しつつも、映画として形にするために構成変更も行い、素晴らしい映画になっていたと感じています。気になるところもありますが個人的な評価はかなり高いですね。3作目の公開に向けた動きも進んでいるようですし、今後も期待したい映画です。

馬陽防衛戦が描かれたら李牧についても話が進みますし、そしたら合従軍による秦への侵攻の話も出てきそう……。蒙武の活躍という意味でも合従軍との戦いも見たいですよね。

夢がどんどん広がりますが、そのためにもまずは今のキングダムを応援しなければ!
というわけで、もしまだ見ていない人がいたらぜひ劇場へ足を運んでもらいたいですね。
邦画アクションとしてかなりクオリティ高いレベルだと思います。見ておいて損はないのでぜひ!

私は近いうちに2回目を見に行こうかと思ってます。

キングダム

キングダム

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