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実写映画版『約束のネバーランド』が想像以上に原作を尊重した映画でした


映画「約束のネバーランド」【予告】12月18日(金)公開

こんにちは。譲治です。
2020年公開の実写映画の中で一番楽しみだった『約束のネバーランド』。
年が明けてしまいましたがようやく見に行くことができたので、その感想を書いていきたいと思います。

約束のネバーランドとは?


TVアニメ『約束のネバーランド』PV

様々な子どもたちが集められた「孤児院」、グレイス=フィールドハウス。
そこでママとして慕われるイザベラのもと、子どもたちは皆血縁関係は無いながらも兄弟のように仲良く、里親が見つかる日を待ちわびながら毎日を過ごしている。
エマ・ノーマン・レイの3人も、いつか外の世界で幸せに暮らすことができると信じていた。

その日が来るまでは……。

 

『約束のネバーランド』は週刊少年ジャンプで連載されていた作品。
孤児院だと信じていたハウスが実は鬼のための食用児を育てる農園だということを知ったエマ・ノーマン、そしてレイたちが農園からの脱出、そして安全に生きていくことのできる世界を目指して数々の困難に立ち向かっていくお話になっています。
ジャンプらしからぬ雰囲気があり、「努力・友情・勝利」と言った要素はありながらも、少し別の角度から描いているように感じますね。

原作は完結しており、アニメも1クール目は2019年に放映済み。
ですが、2クール目が2021年に放映開始されることもあり、まだまだ熱量の高いコンテンツであり続けるんじゃないでしょうか。

今回紹介する映画版ではその1クール目の範囲を描くので、アニメを見たよという人は映画ではどのようになるのか、話を知らない人は導入として楽しむことができると思います。

 

配役の妙

映画版のいい部分として他の人も言うと思いますが、配役が素晴らしいんですよね。

主役のエマは浜辺美波。
天真爛漫で笑顔がエマらしい女優だと思います。
子どもたちの中では一番年上ということで、他のメンバーとの差が心配ではありましたが、その心配も杞憂になるくらい適役でした。

他にもノーマン役の板垣李光人は知的なノーマンらしい演技が素晴らしかったですし、レイ役の城桧吏は年齢相応の雰囲気を持ちながらも気持ちの乗った演技ができていたんじゃないでしょうか。
また、それ以上に良かったのがイザベラ役の北川景子とクローネ役の渡辺直美ですね。
北川景子はママとして優しさと同時に冷酷さを併せ持った雰囲気を原作同様に表現していましたし、渡辺直美はクローネの狂気感を遺憾なく発揮していました。

と順番に書いていきましたが、シンプルに女性陣の勢いがすごいわけですわ。
特に渡辺直美。あれはクローネだった。
演出や編集がうまいというのもありますが、渡辺直美の強いクセがそのままクローネといいますか、もう完成。もう優勝。

このメンバーじゃないと撮れなかったという話も聞きますが、まさにその通りだと思います。
続きも撮れるのであればこの後の話も描いてほしいところですが、城桧吏の年齢を考えると続きの話でかなり見た目が変わってしまうんじゃないかなと。
今回の映画でも撮影中に声変わりがあって撮影後アフレコしたとのことですし、ハリーポッターみたいになりそうなんですよね……。
今だけのメンバー、今だけの輝きを見てもらいたいですね。

 

演出面でプラスに働いた作り

漫画原作実写映画でありがちなのが、「CGが背景と比べて浮いてる」「洋風設定なのに日本」なんですが、本作ではうまいことかわしているんですよね。

CGの方は、まずGF農園脱出編にはそこまで鬼が出てこないという原作の設定がうまいこと作用していたと思います。
つまり、あからさまなCGを使わずに済んでいるということ。
ハウスの建物も頑張って実在のロケ地(福島県 天鏡閣)を見つけてきたそうですし、森も長野の入笠高原牧場を使っていて、植生の面や建物が炎上するシーンでCGを使っていますが、それ以外はしっかりと本物を使っているのがこだわりであり、CGの浮きが発生しなくなるポイントでもあります。

また、全体的に暗い雰囲気が続く作品ということもあり、CGが目立ちにくいというのもあります。

洋風設定なのに和テイストになってしまう部分は、日本の植物をCGで消すなどの加工を頑張ったと監督がパンフレットのインタビューで答えていますが、それ以外でも多国籍な子どもたちを集めたことが大きいように思います。
多国籍だからこそ、日本人が居ても目立たない、というのはかなり上手い手法だと思いますね。

それ以外にもこの和テイストを消すことにはこだわりがあったようで、ウィッグの着色などもギリギリ実在するラインになるように何度も着色を繰り返したのだとか。
違和感を少しでも消していこうという努力によって、見ていて変に感じる箇所がかなり抑えられていたのかなと思いますね。

年齢設定について

情報公開当初言われていた年齢設定の改変についてですが、結論から言うと別に良いのでは?という感じでした。

原作では6歳から12歳の年齢で出荷なのですが、映画では6歳から16歳になっています。
イザベラ役の北川景子は打診を受けた際に「設定改変を行うのであれば引き受けない」という話をしたと言っていましたが、年齢設定を変えてるじゃん!という話なんですよね。

ただ、浜辺美波を11歳の設定で出すのは無理がありすぎますし、別の人で撮ることができたかと言われると難しいと思います。
そう考えると、ベストな配役をするために年齢を上げる選択はベストだったのでは無いでしょうか?

ストーリー的にも少なくとも今回の範囲においては大きな影響はありませんでしたし、年齢を変更したことがマイナスに働いている場所はありません。
そんなわけで映画を良いものにするために、話をうまく進めるために必要な改変だったと感じています。

 

さいごに

実写映画版『約束のネバーランド』を見てきましたが、かなり原作を尊重して、約ネバの良い部分、大事な部分を活かすように作られていました。
映画としても丁寧に作られていましたし、原作を知らない人が見ても楽しむことができるんじゃないかと思います。
というよりも、原作を知らない人がこの映画をきっかけに原作漫画やアニメの方へ手を出す……そんな映画になっていたんじゃないかなと。

配役が素晴らしく、雰囲気も忠実に再現していましたし、まだ見ていない人は是非見てもらいたいですね。
また、原作のファンはカラーイラストなどをオマージュしたシーンがちらほらあるので探しながら楽しむと良いんじゃないでしょうか。
ファンが見ても楽しめる映画だと思いました。