こんにちは。譲治です。
皆さんすでに視聴済みだと思いますが、「幽☆遊☆白書」のNetflixドラマ版が公開されましたね。
かなり楽しみにしていた作品で、ドラマ版がどのような展開になるか予想したこともありました。
そんなわけで実際どんな作品だったのか、という答え合わせや感想を書いていこう!というのが今回の記事。まぁ全員すでに視聴済みだと思うので、ネタバレは気にしないスタンスで行こうと思います。
Netflix版の展開について
もともとの予想では他のドラマと同じく8話構成で考えていたのですが、公開されたのは全5話というもの。かなりコンパクトに纏まっているのがわかるかと思います。もちろん最後までドラマにすることは出来ませんし、やるとしても見せ場をどのように作るのかが勝負になってくる話数……。
そんな状況でどのように話を展開したのかというと、短縮化と要素の掛け合わせです。
大きく変わっている、または短縮されているのは以下の部分。
- 幽助が幽体のまま立ち回る日常パート削除
- 修行編はあるものの乱童登場なし
- 四聖獣に関係なく、左京が開けようとしている境界トンネルから魔回虫が出現
- 雪菜救出と暗黒武術会(戸愚呂チーム戦)をかけあわせたような最終戦
戸愚呂戦がわかりやすい(同時に有名な)盛り上がりどころだと考えると、そこにフォーカスするのは当然と言えるでしょう。
5話でそこまで到達するために様々な箇所を端折り、まとめられるものはまとめ、面白いところだけ駆け抜けていくキレイな作りだと感じましたね。
では、それぞれもう少し具体的に見ていきましょう。
幽助復活までの展開
最初に幽助が死んだところから開始するのは原作通り。なんなら原作2話までの流れを汲んでいるとも言えます。
ただ、これと並行して魔回虫の問題が進んでいくのが原作とは異なるところ。しかも原因は四聖獣の虫笛ではなく、人間界と魔界を繋ごうと左京が進める境界トンネルの影響というもの。魔回虫の出現によって人間界でも怪物化してしまう人間が出現しています。この魔回虫に体を乗っ取られた同級生が暴れたことで原作13話で起きる火事が発生。取り残された螢子を助けるために、幽助が蘇生するという流れに変更されています。
この影響で序盤の日常編はカット。原作17話のような劇的な生き返りも無し。
代わりに、魔回虫に乗っ取られた同級生との戦闘シーンがガッツリ入っていて、序盤から「アクションを重視している」ことをビシビシ伝える構成になっていましたね。
剛鬼・蔵馬・飛影
原作で例会の三大秘宝を盗み出した3人ですが、今回は別の強奪犯から横取りする、という展開に。
また、原作で飛影が手にした降魔の剣は斬った対象を魔物に変えてしまうという効果でしたが、ドラマ版ではそのような説明はされず、飛影が邪眼を開けるための道具という扱いになっていたのも大きな変化でしょう。
というか、原作初期の飛影とは別キャラで、すでに中盤以降の雰囲気になっていて、人間に害なす悪ではなく妹を探すところのみに注力している孤高の存在という感じ。
その上で、幽助との戦闘シーンが修行の前後にあるのですが、最初はものすごく強い存在として描き、その後は修行の結果対等に戦えるところを描くことで、強さの尺度となるように配置されていることが伺えます。
幻海との修行編
乱童が登場しなかった、と書きましたが、そもそも門下生大選考会自体開催されていません。コエンマの計らいによって幻海に修行をつけてもらうことになった、という筋書きです。
その上で、原作では回想的に語られただけの修行編をしっかり描き、幽助の精神的な部分の変化によって大きく成長する展開として再構成されています。
幻海という人物についても触れるのも重要な要素なので、ここで回収できていたのかなと思いますね。
雪菜の救出と暗黒武術会
垂金のもとに囚えられている雪菜を救出する話。ここで幽助と戸愚呂兄弟の戦いになる、というのが原作の展開ですが、ドラマ版では垂金の屋敷ではなく、左京の運営するギャンブル島である首縊島に避難した結果、そこで大掛かりな戦いが繰り広げられる流れになっていました。
幽助の動機が戸愚呂兄にさらわれた螢子を助けるためで、飛影とは利害の一致によって協力体制を敷くことになり、蔵馬は暗黒鏡のくだりで助けられた恩返しが同行の理由となっています。
原作では戸愚呂が左京の指示によって1度敗北するのですが、ドラマでは「戸愚呂に負けてもらう予定だったが気が変わった」というような言い回しに変更。暗黒武術会で言い放ったような、左京自身も命を掛ける展開になっていきます。
さらにこのタイミングで出てくる戸愚呂の部下的な位置づけのメンバーが戸愚呂チームの鴉と武威に変更されていて、完全に暗黒武術会を取り入れたことがわかる構成になっていましたね。
再構成の結果について
様々な箇所の再構成を行うことで、幽助と霊界の関係構築、飛影や蔵馬の合流、そして修行からの戸愚呂弟との決戦までを5話に入れ込むことが出来ています。ポイントを絞ることで話がかなりわかりやすくなっている、と言えるでしょう。
もちろん、外されてしまった要素も様々あります。上でも書いたように最初の日常編はなくなっていますし、飛影が人間界で暴れることもなく、門下生大選考会がないので乱童が出てこず、四聖獣との戦いもありません。
垂金の屋敷での戦いは暗黒武術会と合体されているので、暗黒武術会の中盤までの戦いはすべて無しになっています。
これらの変更についてあれこれ言いたいことがある人もいるかもしれませんが、個人的には5話という制約の中うまく作り上げたなと思っていて、かなり好印象ですね。だって盛り上がるのって戸愚呂弟との戦いじゃん、みたいな。
そんなわけで再構成については成功だと言えるんじゃないでしょうか?
アクションについて
展開や構成とは別の部分の話もしていきましょう。
具体的にはアクションシーンについて。
SNSでもいくつか見かけましたが、本作のアクションはかなり良い出来。特に序盤のものが良いですよね。
最初の同級生との戦闘シーンは韓流ゾンビもの的な要素も感じるつくりになっていて、気持ち悪く、人間ではないとわかる/感じる存在との戦いになっていました。また、このシーンが最高だったのですが、剛鬼との戦闘シーンは廃車などの地形をうまく利用した立ち回りが印象に残りました。更に言うと、テンポの良さやカメラワーク、アクションの幅が見どころ。日本のアクションの中でかなり上位に来るんじゃないかと思っています。
逆に、中盤以降は段々と霊力を使った戦いになっていくので、エフェクトは派手ですが戦闘自体は大味になっていった印象があります。霊丸を撃つのは良いのですが、それ以外の部分があまりなくなってしまった、と言いますか。
中遠距離での戦闘も同様で、少しテンポの悪さを感じました。CGの比率が高くなるとどうしても間延びした感じというか、緊迫感が薄れるというか、物足りなく感じてしまいましたね。
特におすすめするとしたら肉弾戦メインの2話までの戦闘になりますが、全体的にアクションに力が入っていて好印象です。アクションシーンに興味のある人にはぜひ見てもらいたいです。
さいごに
戸愚呂弟との戦いまでやりきった「幽☆遊☆白書」。
今後どうなるんだろ、続きあるのかな? みたいなことが気になりますが、実際のところやれるのか? と思っています。まぁやるとしたら仙水の話になるとは思いますが……。構成を変えたとは言え、実写鋼の錬金術師の第1弾のように後々活躍する人を殺したりはしてませんし、やろうと思えばなんとかなるのかな……?
構成についてもアクションシーンについても、全体通して概ね好印象のドラマでした。全5話と短いので、興味のある人は年末年始にでも見てみると良いと思いますよ。