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ゲームレビュー:Meet Your Maker 理不尽だからこそ面白いダンジョン襲撃&建築ゲーム

6月までの期間は気になっている様々なタイトルが発売されるシーズン。
大型タイトルだと『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』や『ファイナルファンタジーXVI』、少し小さめのタイトルになると先日紹介した『マインクラフト レジェンズ』も発売されましたし、楽しみなゲームが多くあります。
その直前の4月前半という時期に少し時間ができてしまった私は、新しいゲームを買うようなタイミングでもないし……というような気持ちでライブラリを漁っていました。すると、4月のPS Plusで配信された『Meet Your Maker』というゲームが目に入ったのです。他にやるゲームもないし、つなぎで少し試してみるかと思いながら起動してみたのですが……これが面白い。
正直に言って、見くびってましたすみません、という感じ。

そんなわけで今回は『Meet Your Maker』を紹介してみようと思います。

Meet Your Makerってどんなゲーム?

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『Meet Your Maker』の舞台は遺伝子の破壊によって、惑星の生物が死滅してしまった世界。ウィルスに感染する前に死亡した生物は遺伝子破壊の影響を受けていないため、世界を修復するために純遺伝物質と呼ばれるアイテムを集めることになります。

主人公は管理人と呼ばれ、キメラに純遺伝物質を渡すために他の基地への略奪や自家生産を行う存在。

こちらがキメラちゃん。
略奪を終えて帰ってくると褒めてくれる優しい存在です。本作の癒やし枠

ゲームプレイは2つのパートに分かれます。
1つ目が襲撃、もう1つが建設です。

襲撃は他の基地(アウトポスト)への略奪を行うアクションパート
一人称視点という視野が制限された状態で、罠や番兵だらけの入り組んだダンジョンを進むことになります。基本的には何か攻撃を食らうと1撃で死亡してしまうため常にスリリングな戦闘を楽しむことができます。

建設は自分のアウトポストを作成するパート
ブロックを組み上げ、形状を変え、そして罠や番兵を配置することで、侵入者の命を刈り取る迷宮を作りあげることになります。罠には矢が飛んでくるようなものや串刺しになってしまう杭が飛び出すもの、火炎放射に敵を引き寄せる鉤爪、更には溶解液の塊のようなものも。番兵も遠距離攻撃を行う者だけでなく、近接攻撃を行ってくる巨漢などもいます。

この襲撃と建設は説明を聞くだけだと全然別のゲームのようですが、襲撃対象となるアウトポストは他の人の作ったもの。つまり、プレイヤーが作ったダンジョンに他のプレイヤーが侵入するという、非同期対戦のような形式になっているというわけです。『マリオメーカー』や少し異なりますが『クラッシュ・オブ・クラン』のような感じをイメージしてもらえると良いかもしれません。まぁそんなコミカルなものではないのですが……。

世界のどこかの誰かが、侵入者を殺すために作ったダンジョンに侵入して奥のアイテムを回収して帰還する……それが『Meet Your Maker』というゲームです。

PS5、PS4、XboxOne、Xbox Series X/S、Steamなどで配信されていて、他のプラットフォームで遊んでいるプレイヤーのアウトポストも遊ぶことができるようになっています。
また、私は一緒に遊ぶフレンドがいなかったので試せていませんが協力プレイも可能とのこと。ただしこちらはクロスプレイには対応していないため、プラットフォームを跨いだマルチプレイはできないようです。

緊張感あふれる襲撃体験

強力ながらもリスクも同居する武器たち

襲撃を開始すると、このような桟橋から開始となります。
このタイミングでのみ装備などのロードアウトを変更することが可能。

装備は近接武器・遠距離武器を1種ずつ(開放していたら防衛武器をセットすることも可能)とグレネードなどの消耗品が2種類。武器はどちらも罠・番兵ともに1撃で倒すことができるものの、使用にリスクもあります

近接武器はわかりやすいのですが、近接というだけあって対象に近づく必要があります。対象へ吸着するように攻撃をしてくれるので近づきさえすれば外すことはないのですが、近づくこと自体がリスキーな行為。また、連続で使用できないようクールタイムも存在します。1秒ほどではあるのですが、複数の罠のある場所ではそれが命取りになることも……。

遠距離武器は近づかなくてよい分リスクが少ない……のですが、弾を回収して再利用するタイプなので、しっかり取りに行かないと弾切れになってしまいます。そもそも弾数も2、3発なので、そんなに連続して使用できるものでもなく、回収できる目処がある場面で使用する武器、という感じ。

消耗品は当然数に限りがあるため、使い切ってしまうともう使えません。
ですが範囲攻撃ができたり、死んだときに蘇生できたりとかなり強力なので、使うタイミングをしっかり見極める必要があります。

これらとは別枠でグラップリングフックもあり、こちらは自由に使用することができます。壁や天井に張り付くこともできるため、高台に登ったり、天井に刺さった弾を回収に行ったり、素早く移動したりと様々な場面で使用することになります。

移動の自由度は高いため操作に関して不満は特になく、罠の攻略の方に意識を向けることができるようになっているのが高評価ですね。

悪意あふれる罠や番兵

角を曲がると死角から矢が飛んでくるのは日常茶飯事。
上下左右様々な場所にトラップが仕掛けられているので、アウトポストを歩くときは常に周囲を見渡して警戒する必要があります。上の画像のような箇所は遠距離武器で攻撃することで簡単に破壊できるのですが、弾を回収しようと何も考えずに近づくと上や下から矢が降ってくるようなことも……。
また、突然上から爆弾が降ってきたりもしますし、火であぶられることもあります。

敵である番兵もわかりやすく配置されていれば簡単に倒せるのですが、見えにくい場所にいたり、強力かつ頑強な強化済みの巨漢が何体も並んでいるような場面に出くわすことも。死角からの射撃に驚き、巨体からは想像できない素早さで突っ込んでくる巨漢に絶望し、死んでいくような場面もたくさんあります。

罠も番兵もこちらを検知していると上記画像の上の方にあるようなインジケーターが表示されるのですが、想像していないときにこれが突然出てくると心臓が跳ね上がりますね……。

プレイ済みの人であれば何が起こるか想像できるんじゃないかと思いますが、こういう触れたら死亡する溶解液だらけの場所を初めて見た時は「何が起こるかはわからないけど絶対やばいことだけはわかる」状態
そんな場面をうまく切り抜けられたときは最高なので、緊張と合わせて味わってもらいたいところ。

このような「悪意に溢れた配置」を一度体験すると自分でも作りたくなるのが人間というもので、どんどん悪意に満ちたアウトポストが生まれていくことになるのも本作の魅力かもしれません……。

ユーザークリエイトコンテンツだからこその体験

正直に言うと『Meet Your Maker』は理不尽なゲームです。
ゲーム開発者によって作られるゲームは、何らかの解法を仕込んでおくものですが、このゲームはそれが担保されていません。
それじゃ面白くないのでは?と思う人もいるかと思いますが、少なくともこのゲームにおいては上手いバランスで成り立っていて、逆にこの理不尽さによって面白くなっていると感じています。

こういったダンジョンを攻略していくようなゲームはどうしても慣れによって最初に感じていた緊張感が失われていくもの。ですが、本作ではユーザーが他の人を殺すために作ったダンジョンなので、楽しませることよりも殺すことに特化される傾向があります。もちろん、多くの襲撃を繰り返し、ゲーム内の仕様を把握していくことである程度慣れることもできるかもしれません。それでも突然現れる奇人変人の作った暴力的なトラップで殺される可能性は残り続けます。そのため、常に警戒し、何が起きるか想像しながら進まなければならないという緊張感が維持されるようになっているんじゃないかと思います。

つまりまとめると、セオリーが無いから何度やっても緊張感を楽しめる、という構造になっているのかなと。

あとたまにこういうちょっとおふざけの入ったものを作ってる人がいるのは和みますね。
(ただ、こういうアウトポストはだいたい凶悪な中身な印象ですが……)

さいごに

何度遊んでも常に新鮮な気持ちで楽しむことができるのが魅力の本作。
それ以外にも単純に他の人の作ったアウトポストを眺めるのも楽しいですし、罠や番兵を強化して自分のアウトポストをより凶悪にしていくのも面白いのでおすすめです。
個人的には一晩あけてゲームを起動したときに、自分のアウトポストでたくさん死んでいるログを見たときが最高に嬉しい瞬間だったりします。他のプレイヤーが死亡した場所や死因は建築モードで確認することができますし、リプレイという形式で襲撃自体を見返すこともできるので、アウトポストの改良に役立てることも可能。
アウトポスト攻略後は称賛という形で評価をつけることができるのですが、それを受け取ったときもかなり嬉しいですし、こんなよくわからない見た目のゲームのくせに結構気の利いた作りになっていて憎たらしいほどです。

襲撃側は襲撃側で、その成績に応じてランクが上がっていく仕組みも入っているので、より上のランクを目指すことをモチベーションにしても良いかもしれません。

悪意に満ちたダンジョンを進む緊張感それを切り抜けた時の最高の開放感
自分の作ったダンジョンで狙い通り他のプレイヤーが死んでいたり、「面白かった」と称賛をうけとった時も嬉しくランクというモチベーションもある。

ダンジョンを進んで戻ってくるだけという簡単な作りなのに、要素がうまく噛み合ってずっと新鮮に楽しめるゲームでした。
気になった人はぜひ遊んでみてもらいたいです。