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ゲームレビュー:Cult of the Lamb 現代人が遊ぶべきカルト宗教運営式褒められ系ローグライトアクション

こんにちは。譲治です。
今日は『Cult of the Lamb』というゲームについての感想を書いていこうと思います。

簡単に説明するとカルト宗教版どうぶつの森をしながら、ダンジョンを探索するローグライトアクションをするようなゲーム。2Dをベースに描かれる独特な絵柄は「Happy Tree Friends」にも近い印象を抱きます。

そんな少し変わり種のゲームなんですが、進めていくと段々と感じていくのが「疲れた現代人こそ遊ぶべき」というもの。もちろん「カルト宗教」と言われてイメージするのは物騒な集団ですし、実際このゲームでも問題が多いのですが、だからこそ得られる特別な体験がそこにはありました。

「忠実なる信者」だからではないですが、より多くの者が祝福を受けられるよう祈りつつ、この教え……じゃなかった、ゲームについて書いていくことにします。

Cult of the Lambってどんなゲーム?

www.youtube.com

『Cult of the Lamb』は2022年にインディーゲームを開発しているMassive Monsterが発売したゲームです。販売自体はDevolver Digitalから。
ちなみにDevolver Digitalは毎年E3やSummer Game Festの時期に癖の強いプロモーションをしているのですが、それはまた別のお話。

最初にも書いた通り、自分の教団を運営し、資材を集めたり設備を整えたりしながら、信者の信仰を集める教団運営シミュレーション的なパートと、異なる宗教の司祭を倒すためにダンジョンに潜っていくアクションパートに分かれていて、お互いに影響し合う作り。具体的には、シミュレーション側で信仰を集めることでアクション側で有利になるようなスキルを手に入れたり、アクション側のダンジョン内で新しい信者を見つけたり、という感じです。シミュレーションとアクションがうまく噛み合っていて、それによって生まれる面白さが本作の魅力と言えるでしょう。

プレイできるプラットフォームは、PCPS4/5、そしてSwitchも含まれるため、好みのハードで遊ぶことができます。家でじっくりと時間をかけるのか、はたまた移動中もこまめに様子をみるのか。お好みの教団経営が可能なゲームです。

最後のボスを倒すところまでだとおおよそ20~22時間程度
大作というほどではありませんがしっかり楽しむことができますし、アップデートも計画されていて、2023年10月現在では無料大型アップデートである「Relics of the Old Faith」が配信済。今後のロードマップではストーリー追加アップデートも予定されているので、まだまだ楽しめるゲームだと思いますね。

どうぶつの森やたまごっちのような教団経営

教団経営のシミュレーションパートでは信者から信仰を得ることが目的なんですが、実現するために信仰を得られるような施設を作る必要があり、更にその材料となる資材を集めなければなりません。最初こそ木が生え、岩の点在する拠点ですが取り尽くしてしまうと追加で得られる量に限りがあるため、採石場などを作ったり、ダンジョンで資材を集めることに。

また、食事を作って提供したり、テントを作って寝場所を作ってあげたり、時には草むらのウンチを掃除してあげるといった、信者のお世話も教祖様のお仕事です。そういった細かいところにも気を配ることができるのが素晴らしい教祖というものでしょう。

ある程度のことは進めていくことで自動化というか、キューに積んでおくことで信者にやらせることも可能になっていくのですが、そのためにも資材が必要……。金も必要だし資材も必要だし、当然食材も必要といった具合の自転車操業宗教団体から開始するわけですね。

カルト宗教らしく、教団の運営では信者への説教だけでなく、教義を設定することで価値観を変えたり、儀式によって生贄を捧げたりするようなことも可能。全員を洗脳して信仰心を損なわないようにするのも大事ですからね。

そして一方的に教義を押し付けるのではなく、食事を作って提供したり、テントを作って寝場所を作ってあげたり、時には草むらのウンチを掃除してあげるといった、信者のお世話も教祖様のお仕事です。そういった細かいところにも気を配ることができるのが素晴らしい教祖というものでしょう。

ローグライトなダンジョン探索

聖戦とよばれるダンジョン探索では、最初に武器と呪いと呼ばれる魔法のような能力を得ることができます。ここにランダム性があり、毎回何を手に入れられるかは決まっていないため、苦手な武器が出たときはなかなか進むのが難しくなることも。
武器も呪いも途中で別のものと入れ替えることができるのですが、そこまで機会が多いわけではないため、どの武器でも戦えるよう練習しておく必要があります。

ダンジョンは部屋単位で進めていく形式で、部屋内の敵を全滅すると次の部屋へ進むことができるようになります。その階層の一番奥に到達すると、次のエリアが開放されて進むことができるので、くまなく探索してアイテムを探すか、体力を保持するために素早く探索を済ませるか、状況を見ながら考えるひつようがあります。

武器と呪い以外にもタロットや聖遺物と呼ばれる要素も。
タロットは勝手に発動するバフ、聖遺物は強力な特殊アイテムなので『Slay the Spire』のレリックに当てはまるのがタロットで、アイテムが聖遺物というのが近そう。

上の説明にも書いたように、ダンジョン内では異教徒に捉えられた者を発見することがあります。これを助け出すことで、(強制的に)信者として勧誘することが可能。まぁみんな最初は驚いてますけど、教団にワープさせられた後話を聞いたら満足げなので問題無いでしょう。

このように様々なイベントを乗り越えつつ、武器や呪い、タロットや聖遺物を集め、一番奥のボスを倒して帰還し、ダンジョンで攫ってきた信者を仲間に加え、教団を大きくしていくことで、最後の大ボスへと繋げていくのが本作のゲームサイクルです。シミュレーションだけでもなく、アクションだけでもなく、両方が揃うことでゲームが押し進められているように思います。

そこまで深く考えずとも、信者の世話をするために出稼ぎ行くべ!くらいの感覚で遊ぶのでも大丈夫。信者はみんなあなたについて来てくれますので。

疲れた現代人こそ遊ぶべき理由

ここまではゲーム内容について色々書いてきましたが、最後に私が個人的に最も評価している箇所について書いていきます。
それが「疲れた現代人こそ遊ぶべき」という話です。

一言で言います。

めっちゃ褒めてもらえる

信者は教祖のことを信用していて、尊敬していて、偉大だと崇めています。その説教は素晴らしく、選択した行動は正しく、死ぬまで(場合によっては死んでも)付いて行きたいと思ってくれています。

そんな存在がことあるごとに、教祖に対して感謝をしてくれる……。

教祖なので信者の考えていることを覗き見ることもできるのですが、そこでも教祖である私のことを褒め称えてくれる……。

依頼されたことをこなすと「完璧な存在だ」と言ってくれる……。

まぁたまに変なやつもいますが。

こんな風に色々な場面で教祖(=私)を褒め称えてくれるゲームが『Cult of the Lamb』なんです。
(もちろん、上で書いたようなお世話はしなければなりませんが)

普段の生活で褒めてもらえることってどれくらいありますか?認めてもらえる、尊敬を言葉にしてもらえる、そういうことってどれくらいありますか?

疲れ果てた毎日を送っている人にこそこのゲームで教祖になって、褒めを全身で浴びることをおすすめします。

また、SNSによって承認欲求がむき出しになっている現代人であれば、信者たちに全面的に認めてもらえる、肯定されるのでこのゲームが好きになると思うんですよね。

カルト宗教というキャッチーな見た目だけでなく、親和性の高い独特なコミュニケーションによって大変な現代を生きる人類にとっての救いになるゲームだと感じましたね。

さいごに

今回はカルト宗教をモチーフにした癖の強いゲーム『Cult of the Lamb』について書いてみたのですがいかがだったでしょうか?

途中でも触れた通り、経営シミュレーション部分とダンジョン探索アクション部分の2輪がうまく繋がっていて軸がしっかりしたゲームです。
そしてその上にカルト宗教という独特なテイストを乗せ、親和性の高い信者からの尊敬・信頼といった要素で私を褒め称えてくれる最高の世界でした。

メインでは語りませんでしたが、道徳的に悪い選択肢を取ること(=カルト宗教的なイメージのある選択肢を取ること)が都合が良いことが多くなっているという点も面白い作りです。
例えば、老いによって信者が死亡してしまうことがあるのですが、そのまま放置しておくと病気が流行ってしまうため何らかの対処が必要……という場面。もちろん埋葬してあげる方が良いのですが……墓地って場所取るんですよね。なので、肉を剥ぎ取ってしまえば場所も無駄に使わないで済むし、肉も手に入るしでメリットが多い……。このように、ゲーム側からカルト宗教的な選択を美味しそうに見せてくるのがこのゲームの独特な味付けに大きく繋がっているように感じました。

少しでも気になったら……褒められたいと思ったら、遊んでみることをおすすめします。