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ゲームレビュー:Voice of Cards できそこないの巫女 4組の巫女と従者と世界と心を救う物語

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こんにちは。譲治です。
先日も紹介した『Voice of Cards できそこないの巫女』がついに発売。一気にクリアしたので感想を書いていこうと思います。
最初に書いてしまいますが個人的には中盤まではいまいち、最後の展開はアツかった、という評価でしたね。

Voice of Cards できそこないの巫女とは?


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前作『Voice of Cards ドラゴンの島』から、約4ヶ月。
発表自体はつい先日だったのですが、「Voice of Cards」シリーズの第2弾として開発・発売されたのが『Voice of Cards できそこないの巫女』です。

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テーブルトークRPGをモチーフとし、全てをカードで表現しているのが特徴で、移動や戦闘、アイテムの管理もすべてカード。あとはキャラクターのコマとジェムという宝石とダイスというボードゲーム的なコンポーネントだけ、というのがこのゲームの面白く、他にはあまりない要素です。

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今回のお話は、美しい海に囲まれた精霊が住まう島々が舞台。海ということで、船を使って航海していくようなフィールド探索もあり、前作と雰囲気の違いを感じることができるでしょう。
また、それぞれの島には巫女呼ばれる女性とその巫女を守る従者が組んで、精霊を生きながらえさせています。本作で登場するのは4組の巫女たち。そして主人公の青年と巫女になれなかった少女のラティ。本来いるはずの巫女のいない「終わりの島」を終焉から救うために、4つの島の巫女と従者と会い、助力を請うことになります。

また、今回も監修はヨコオタロウキャラクターデザインの藤坂公彦など、前作から続投の方も多くいます。前回安元洋貴が担当していたゲームマスターの声は今回速水奨に変更になっており、プレイしたところ前作よりもシリアスよりの雰囲気に。シナリオもふざけたところの少ないシリアス強めだったこともあり、かなり合っていたと感じました。まぁもう少し遊びが欲しかったなとも思うんですけどね。

イマイチだった中盤まで

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最初にも書いた通り、私は序盤・中盤と正直面白くないと感じながらプレイをしていました。

本作に求めていたのは「RPG的な面白さ」「ストーリーとしての面白さ」「メタ的な面白さ」の3つ。ですが、そのすべてが思っていたようなものではなかったのです。

まず最初に「RPG的な面白さ」について。
一般的にRPGと呼ばれるゲームでは、キャラクターのレベルを上げ、装備を更新し、より強くなっていくことで成長を感じるような仕組みを取り入れていることが多いと思います。『Voice of Cards できそこないの巫女』でも当然レベルアップはあります。が、「巫女と従者」の仕組みによってそれが壊されていたのです。

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それぞれの島に到達すると、主人公・ラティに加えて巫女と従者がパーティに加わります。臨時パーティと言う感じで、その章だけの特別なメンバーです。
島ごとに新しい戦い方を考えることになるなど、単調になりがちな戦闘にアクセントが加わり面白い……と言えるのはわかっています。ただ個人的にはこの巫女たちのレベルアップも装備変更も(ほぼ)できないのがどうしても面白くなくて。新しい街に行っても装備を更新する面白さが少ないんですよね。特に武器はラティも武器だけは固定なこともあって、主人公の分しか変更することができないので、武器を買おうという気持ちにもなかなかならない……。

最終的には印象が変わりましたが、途中段階では面白くないなぁという気持ちが強かったです。

次は「ストーリーの面白さ」について。
島ごとにストーリーが切り替わっていく物語構成なので、1つ1つがあまり深堀りされないというのが気になったポイント。また、期待していたほど抉られるような展開がなかったのも物足りなさを感じた箇所でした。
なんというか「巫女として使命を全うすること」ついて最初に色々語っていたと思うのですが、それがあまり活かされなかったというか。いや、それぞれ別の部分で苦悩があり、得られたものや失ったものがあり、それはそれで重い話だったとは思うのですが、すべて独立しているように感じられたというのが大きいのかもしれません。単発の4話構成という印象が強く、繋がりがなかったので物足りなかった、みたいな。

最後は「メタ的な面白さ」です。
これはシンプルで、前作で楽しませてもらったメタ要素。古典的RPGを皮肉ったものだったり、ゲームマスターの安元洋貴のセリフだったりで楽しませてもらったのですが、今作にはそういう要素があまりなかったんですよね。
あと、前作で慣れてしまったというのもあると思います。なのでそれを超えてくるような期待みたいなものがあって、その点のズレからも物足りないなぁと感じていました。

終盤の展開について

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ここまで色々書いてきましたが、正直終盤の展開で一気に気持ちが持っていかれました。

ラティの心の世界だからこそ、全員が集まって一緒に戦える。
今まで出会った人が集まってくる展開に弱いのもあり、最終盤(特に終章)でテンションが一気に上がり、そのままラスボスの撃破まで一息に駆け抜けることに。

ストーリーだけでなく、自分で選んでパーティを組み替えるのは戦闘体験の選択というか、一番上手く進められそうなパーティを考えて作る面白さにもなっていて最終ダンジョンはかなり楽しく遊ぶことができましたね。ラスボス戦も同様で、難しい敵とのバトルをどうやって切り抜けるかを考えるある意味詰将棋的な面白さ。装備についてもキャラごとに正解が決まっていた前作とは異なり、すべての装備が主人公のためにあると考えると、どれを組み合わせるかを考える面白さに繋がったと捉えることもできます。

前作を下地にしつつも別の体験を作ったのが『できそこないの巫女』だと言えるかもしれません。
ただ、途中まではそれらの要素が揃いきっていなかった、繋がっていなかったので面白くないと感じる原因になっていたのでしょう。

終わりよければすべてよし……ではありますが、正直に言うと途中で力尽きる人もいるんじゃないかと感じましたね。

さいごに

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クリアまでは25時間程度と、前作よりは倍近くのボリュームになりました。
中規模くらいのゲームだと言えるサイズですね。

最終的な感想としては「面白かった」と言えるのですが、中盤は半分眠りながらダンジョンを進めていたところもあり、中だるみというか盛り上がりに欠けるゲームだったとも言えるでしょう。ストーリーもそこまで想像を超えるような展開は無く、終盤までは「そろそろ急展開来てくれ」と願いながらプレイしたのが本音です。

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また今回の最後も「Voice of Cardsの世界でまたお会いしましょう」というフレーズが。次回作もあるのであれば、どのような話になるのか気になりますね。前回の紹介記事でも書きましたが、もともとスマホ向けのタイトルとして進められていたプロジェクトということもあり、3章分くらいは事前に作っていたんじゃないかと思っているんですよね。なのでまた4ヶ月後くらいに第3弾が来ると嬉しいなと。複数の「Voice of Cards」シリーズの中であれが好きこれが好きと人によって意見が色々出るくらい今後もシリーズ展開してもらえると良いなぁと勝手に願っています。

ダウンロードのみですが、PS4やSwitchだけでなくSteamでも配信されているので、気になった人はぜひ試してみてください。
また、前作『ドラゴンの島』の感想もありますので、良かったらそちらも見てもらえると嬉しいです。

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追記:ラスボス攻略記事(ネタバレあり)を書きました。

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追記:3作目となる『Voice of Cards 囚われの魔物』のレビューを書きました。

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