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ゲームレビュー:Coffee Talk 訪れる客にコーヒーを淹れながら話を聞く、ゆったりとした物語

こんにちは。譲治です。
今回は『Coffee Talk』をプレイしたのでその感想となります。

『Coffee Talk』は2020年に楽しみなゲームとして紹介したこともあるのですが、実は未プレイのままでした。先日友人におすすめされたこともあり、改めてプレイしてみるかと思い、ストアを見たら「購入済み」の文字が。すでにライブラリに並んでいたんですよね。

というわけで一気にプレイしたので、感じたことをあれこれ書いていこうと思います。
ちなみに今回プレイしたのはPS4版ですが、Steam版も購入済みでした……。

Coffee Talkについて

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『Coffee Talk』はインドネシアのゲームスタジオであるToge Productionsが開発したゲームです。発売は2020年1月末なので今から2年半以上前ですね。

様々な人物が登場する本作ですが、プレイヤーは夜しか開かない少し不思議なカフェ「Coffee Talk」のバリスタ兼マスターとなります。
最もよく登場するのがトレーラーにも登場する緑髪の女性で、小説を書くためのネタ集めとして喫茶店で起きる出来事を楽しみに訪れるフレイヤ。このキャラクターが物語を進めていってくれる誘導役になっています。

そんな物語の舞台となるのは2020年のシアトル。
ただし、我々の知るシアトルではありません
本作の世界には人間だけでなく、エルフ・ドワーフ・吸血鬼・人狼など様々な種族が暮らしています。以前は争いがあったようですが、現在はそれらは過ぎ去った過去となり、自分らしく生活できるようになっています。
とは言っても、現実はそんな簡単にはいきません。終わったはずのわだかまりは残っていますし、それ以外にも問題はたくさん……。それは私達の世界でも同じことで、人種・肌の色・性別・貧富の差など様々な要因で世界は常に争いが絶えません。そういった問題を種族の違いとして表現し直した作品だとも言えるでしょう。

ゲームのシステムはシンプル。カフェのバリスタ兼マスターとなって、客の注文した飲み物を作って提供するだけ
ですが、わかりやすいものだけでなくスパニッシュサハラやテータリックなどのすぐには作り方がわからないもの、または「しょうがを入れたコーヒーがほしい」などの部分的な材料をもとに推測しなければならないものなど注文は様々。それらを推測しながら飲み物を作るのが、本作のゲーム部分となります。
一度作ったものはゲーム内のスマホにレシピとして追加されるため、それらを参考に作ることもできますし、作ったものを廃棄して作り直すこともできるので、ひたすら試してみるというのも攻略法の1つと言えますね。
飲み物を提供すると、客同士、または客とバリスタとの会話が進行していきます。その会話に対して干渉するようなことはできず、どういう人なのかどういった問題を抱えているのかを話を聞きながら知っていくのみ。

ゲーマーであればこの仕組を聞いて「あれ?それって……」と察する人もいるんじゃないかと思います。

そう、『VA-11 Hall-A』(ヴァルハラ)によく似ているんですよね。

開発者はそれを隠すわけではなく、インタビューなどでインスパイアを受けたと言っていますし、『VA-11 Hall-A』の開発者ともやり取りがしていて、アドバイスをもらったという話もしています。
実際にプレイしての感想としては、それぞれ同じフォーマットを使いながらも、語りたいものや語り方が異なる別作品、という感じ。『Coffee Talk』の方が圧倒的にほっこりというか、ゆったりした時間が流れているように感じるんですよね。やっぱり喫茶店とバーの違いなんでしょうか……。

そんな『Coffee Talk』はPC、PS4、Xbox、Switchで発売中。
だいたい5時間程度で1周クリアできると思うので、少し時間のあいている時に遊ぶのにちょうどいいゲームだと思います。

シアトルの様々な問題

説明の項目でも書いたように、様々な種族の住むシアトルには多くの問題が。
種族間の問題が取り払われて全員が平等になった……とは言われていますが、実際はまだ差別意識を持った人も多く存在するようです。またそれ以外にも性別や若者への搾取、労働者にまつわるものなどの問題もある模様。

途中で語られる「例えば、人間だけの世界だったらどうなるか?」という話は皮肉的。そしてこれは実際の世界に対してのメッセージでもあるでしょう。

エルフとサキュバスの恋愛の話人狼が毎月満月の日に変身してしまう話、そしてネコミミ族のアイドルと芸能界の話などを通じて感じる現実社会の問題や、登場人物たちとのやり取りから受け取る「違い」を乗り越えた親愛といったものを、コーヒーを飲むかのようにゆったりと味わうことのできる、そんなストーリーだったと感じました。

ちなみに、進行に合わせて開放されるエクストラ要素にコミックというものがあるのですが、その中で語られる話もあるので要チェックですね。

コミュニケーションの重要性

種族の違いによる問題に対して、重要な意味を持っているのがニールという登場人物です。公式も発表していた範囲で説明すると、マッチングアプリを使いこなすエイリアンなんですが、このキャラクターはとある任務を帯びていて、達成のためにあれこれするのですが上手くいきません。
そこで重要だという話になるのが「コミュニケーション」でした。

会話・対話によって相手を理解し、自分を理解してもらうというのは、本作で語られる問題の解決のためにも重要な要素。お互いに相手のことを知ることが、「違い」を乗り越えるために大切ですからね。

これを体現しているのがニールだと思っていて、コミュニケーションが下手くそだからこそプレイして、ニールの話を聞いている自分自身が「いや、もっとちゃんと相手と話をしろよ」というような気持ちになっているのを感じたんですよね。

異質な存在だからこそ、上手くできていないキャラクターだからこそ、このゲームにおける重要なメッセージを伝えるメッセンジャーにもなっている、というのが本作のストーリーの面白い部分なんじゃないでしょうか。

それと、バリスタの立ち位置についても少し話したい……のですが、ちょっとネタバレが過ぎると思うので今回は割愛させていただきます。
ぜひ実際にプレイして、可能であれば2周以上やって、いろんな話を見聞きしてもらえると嬉しいかなと。

あ、あとは警察官のジョルジが、とっても良いアドバイザーというか、良いお父さんなのが個人的には好きでした。これもコミュニケーションの話に絡んでいますよね。

さいごに

現実社会の問題について考えるきっかけにもなり得る本作。
ですが、ゲームプレイ自体はカフェの一時にも似たゆったりとした時間だったようにも感じます。

個人的にはコミュニケーションの重要性についてが大きく取り上げられているように感じましたが、人によって受け取り方は様々あるようにも思いますし、本作の世界がどのようになっているかなどの世界観に思いを馳せるのも良いでしょう。

開発者のモハメド・ファーミ氏はインタビューで以下のように答えています。

夜、仕事から疲れて帰ってきて、このゲームの雰囲気とテキスト、そしてコーヒーを飲むまったりした感覚を30分ほど楽しんでから就寝してもらえたら、嬉しいですね。

ゲーム内で流れる音楽や、訪れるキャラクターの会話の雰囲気などもまったりしたものが多いと思っていて、ゆったり遊ぶのに適したゲームだと思います。スマホでも遊べたら「寝る前の時間に少しだけ」という遊び方がもっとしやすかったかもしれないですね。

そんなモハメド・ファーミ氏、2022年の3月に亡くなっています。ライターでありゲームディレクターだったのでかなりの中心人物だと言えます。ですが同氏の急逝後も、意思を継いで次作である『Coffee Talk Episode 2: Hibiscus & Butterfly』が開発中となっています。
次作ではどのような話が紡がれていくのか、それを楽しみに待ちたいと思います。

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