こんにちは。譲治です。
久々のゲームの感想は8月25日に発売された『ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON』です。
アーマードコアシリーズといえば、長いこと新作がでなかったせいで多くのファンが渇望し、狂っていく様自体がネタにされていたのですが、ついに沈黙を破って新作が発売されました。最初に発表があったのはゲーム・オブ・ザ・イヤーが発表されたThe Game Awards2022のこと。突然の発表に多くの人が驚き、頬をつねって夢でないことを確認したのは印象的な出来事でした。
そんなタイトルがついに発売ということで、私も10年ぶりのアーマードコアを楽しんできました。
ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICONってどんなゲーム?
アーマードコアシリーズは『ELDEN RING』などでも知られるフロムソフトウェアの開発するアクションゲーム。パーツや武器を組み替えて作った、自分のメカ(AC)を操作して戦う3Dアクションです。
1作目となる『ARMORED CORE』はPS向けとして1997年発売。そこからナンバリングシリーズやスピンオフなど様々なタイトルが発売されてきたシリーズです。
ですが、そのシリーズは2013年発売の『ARMORED CORE VERDICT DAY』を最後に長いこと新作が出ないままの状態でした。
その沈黙を破って登場したのが、本作『ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON』です。
アーマードコアシリーズらしい3次元空間を使った立体機動、そして機体のアセンブルを引き継ぎ、現在のゲーマーに向けた最新作としてリリースされました。ナンバリングはされていますが、過去作との直接的なつながりはない全く新しいストーリーで、シリーズのリブートを担っているとも受け取れますね。
後述しますが、新規ユーザーが少しでも触れやすくなるようにと意識的に簡易化している箇所などもあり、過去作の単純な延長ではなく、今に合わせたチューニングが施されているとも感じます。
ストーリーの主人公は、ACを操作すること以外の機能を取り払われた第4世代の強化人間であるC4-621。放置されたACの残骸から拾ったIDを使用することで、「レイヴン」という登録名で活躍することになります。
舞台となる惑星ルビコン3にはコーラルと呼ばれる物質があり、エネルギー資源や情報導体としての活用だけでなく、食料・向精神薬としても用いられます。かつて起きた大災害、「アイビスの火」によって消失したと思われていたのですが、まだ残っていたことが判明。アーキバスやベイラムといった企業がその利権を求めてルビコンへ戦力を送り込んでいます。
主人公をルビコンへ送り込んだ人物であるハンドラー・ウォルターもコーラルに関わる何らかの目的がある様子。その猟犬として主人公は様々なミッションをこなしていくことになります。
主人公たちや企業だけでなく、惑星を封鎖し監視する組織である惑星封鎖機構やルビコンの住人によって結成された武装組織であるルビコン解放戦線といった陣営が、それぞれの思惑のためにルビコンという惑星を舞台にぶつかり合う……その中で主人公がどのような行動を取り、どのような結末を選ぶのか、というのが本作のストーリーです。
エンディングは複数あり、1周だけでなく周回することですべてのエンディングを見ることができる構成なんですが、私は今のところ1周しか出来ていません。
なので全て楽しみ尽くしてからの感想ではないのですが許してもらえるとありがたいです。ちなみに1周目はだいたい20時間程度かかりました。が、強敵となるボス戦をどれくらい早く超えられるかで時間は変動すると思うので、プレイ時間は参考程度にしておいてもらえると良いかと思います。
戦闘について
アーマードコアらしく、立体的な動きを活かしつつ、短い距離を加速移動するクイックブーストを使って敵の攻撃を回避したり、アサルトブーストと呼ばれる長距離の高速移動を使って敵との距離を一気に詰めるなど、移動に関わる操作を多く使う戦闘が強く印象に残りました。
その上で、ロックオンによって敵を見失いにくくする仕組みによって敵を常に補足したまま、高速移動することができるようになっていました。これによって高速移動を組み合わせながらも敵を捉えて攻め立てるような、強化人間・AC乗りとしての体験を比較的容易に味わうことが出来るようになっていたんじゃないでしょうか。
もちろん、だからといって簡単になったわけではなく、相手の繰り出す攻撃を把握してどのように対応するかは、とりわけボス戦では重要なものとしてはっきりと示されます。更に言うと、わかっていてもアセンブル次第ではうまく回避できないという状況も発生するので、操作が多少簡単になったからと言って敵をさくさく倒すことができるというわけではありません。
アセンブルの話にも派生しますが、ボスとの戦闘を繰り返す中で、相手に合わせてどのような武器やパーツで挑むのかを考えることが多くあるため、常に同じ装備ではなく、敵に合わせてパーツの組み換えを行うというのが自然に発生。これによって、アセンブルを楽しむ・味わう部分に触れる機会も多くなり、多彩なパラメータを把握して乗りこなしていくような、ユーザーの習熟にも繋がる作りになっていたようにも思います。
多くの人が苦戦したであろう、最初の難関バルテウス戦でパルスガンを使うことを覚えた人が多いと思いますし、タンクでゴリ押すような戦い方を覚えた人もいるかと思います。めちゃくちゃ強い敵と戦う中で、装備を色々変更するということを学び、自分なりの戦い方を覚えていく……。そんな流れが生まれていました。
関連する話として、多脚って何が良いの?とかタンクってどう扱えばいいの?という疑問に答えるチュートリアルもあるので、アセンブルを楽しんで貰えるような仕組みが多いようにも感じられましたね。
以前の記憶が10年前の『ACVD』なので正確な比較ではないのですが、間口は広げつつ、パーツの組み換えなどを積極的に行っていくことで、ユーザー自身が傭兵として成長していく……というような流れが強くなっていて、楽しみやすい作品になっていたように思います。
ちなみにスタッガー状態という、ダウン状態のようなものが追加されています。これによって、一気に攻勢に出るタイミングがわかりやすくなり、動きに緩急をつけることに成功しています。ただ、敵によっては復帰が早く、スタッガーにしても攻撃に繋げられないこともあるなど、少し大味な印象も。今後シリーズが続くのであれば、スタッガーのブラッシュアップに期待したいところです。
ストーリーについて
個人的にストーリーについては気になっている箇所があります。
話自体はシンプルで、コーラルを巡る戦いに飛び込んで、どの勢力につくか、というくらいの話。ただ、主人公の関わり方というか、各企業の主人公の扱い方がもやもやすると言いますか。
主人公は実績のない傭兵としてスタートするため、仕事を選んでなんかいられません。キティちゃんのように、どんな話であっても請けて仕事をこなしていきます。ただその中で、とある陣営を壊滅させたり、要所を突破したりすることで名前が知られていくことになるんですが、その状態でも壊滅させられた陣営から名指しで依頼が入ったりするんですよね。いや、自分の同僚殺した人に普通に仕事頼むってどういう心境なんだよと。
序盤の名もなき傭兵の段階であればわかりますし、「ガンダムダブルオー」のように、別勢力として介入する……みたいな話だったら様々な勢力と戦うのも納得できますが、そうではないんですよね。
大枠の話とは別の部分の、たてつけの話になりますが、この点が結構気になってしまって、プレイ中に何度かツッコミを入れそうになることがありました……。
もっとすっと飲み込める設定だったらなぁ……という気持ちです。
かっこいいシーンについて
プレイしていて本当に感じたのは、かっこいいシーンが多いということ。
カットシーンは当然ですが、それ以外でもかっこいいと感じられるシーンが多く、もっとかっこよく戦いたいという気持ちでプレイしていました。
トレーラーでも使われた、ルビコンのコーラルを反映した赤い色味や、多層的に構成された構造物が最高。
戦闘中はちょっとそれどころじゃあないこともありますが、とにかくかっこいい場面が多く、メカものはやっぱこれじゃなきゃな!と改めて実感しましたね。
さいごに
気になるところはありましたが、かなり好印象の作品でした。
特別あたらしいというわけではないのですが、今らしく遊びやすくなったアーマードコアという感じ。ストーリー的なつながりもないので、今まで遊んだことのない人も楽しめるゲームになっていると思いますね。
ただ、フロムのゲームというだけあって難しい箇所も多くあります。上でも書いたバルテウスには2時間くらい止められましたし、後半のボスにはそれぞれ1時間くらいかけてましたし。それでも「あの武器を使ったら勝てるかも」とか「あの攻撃さえかわせばなんとかなるかも」というように、うまくやれば勝てるんじゃないかと思わせてくれるので、やる気が切れることなく楽しむことができました。死にながら、負けながら、それでも自分自身がうまくなっていったり、より良いアセンブルを考えたりする面白さを、ぜひ味わってみてもらいたいですね。
10年ぶりの新作は、しっかりアーマードコアなんだけど、遊びやすさが向上して、プレイしたことのない人でも楽しめる作品でした。