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ゲームレビュー:龍が如く7 光と闇の行方 ものすごい物量で描かれる成り上がりストーリー

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こんにちは。譲治です。
RPGと言っても様々な種類のゲームがありますよね。
例えば、『DARK SOULS』のようにアクションをメインにしつつも能力値の強化によって状況打開の緒を探すこともできる、アクション要素の強いアクションRPGや、『魔界戦記ディスガイア』のようにシミュレーション要素が強いながらもキャラクターの強化による成長を大きな要素として掲げるシミュレーションRPGもあります。
そんな中でもオーソドックスであり、ある意味オールドタイプとも言えるのがコマンド選択式のRPGでしょう。
ここに当てはまるのは『ドラゴンクエスト』とかですね。

こんな話をしたのは、今回遊んだ『龍が如く7 光と闇の行方』も実はこのコマンド選択式のRPGに属するゲームだから。
しかも『ドラクエ』をかなり意識した設定・システムになっているんですよね。
ゲーム中に何度も『ドラクエ』や「勇者」といった単語が出てきたり、スタッフロールには『ドラクエ』の生みの親である堀井雄二氏がスペシャルサンクスとして名を連ねているほど。

そんな今までの『龍が如く』とは異なるシステムに生まれ変わった『龍が如く7』について、色々と感想を書いていこうと思います。

龍が如く7ってどんなゲーム?

今までの龍が如く


『龍が如く 極』最後の公式トレイラー(ストーリーPV)

最初に書いた通り、今回の『龍が如く7』はRPGとなっていて、今までの『龍が如く』シリーズとは異なる仕組みになっています。
今までのシリーズタイトルはアクションアドベンチャーだったのですが、そこからコマンド式RPGへの転身というのはものすごい変化で、発表当時はゲーマーはみんな困惑していた記憶があります。

とは言え、ゲームのテイストというか、ストーリーの中心にあるのは当然ヤクザ・極道で、それは『龍が如く7』であっても変わることはありません。
もちろん、アプローチの仕方は変わっていますけどね。

ヤクザというもののあり方、仁義を示す。
そういった方針が根底を流れていて、7となった本作でも確かに感じることができた部分ではありました。

ただ、本作はかなり特異な立ち位置ということもあり、今までのシリーズを遊んでいなくても問題なく遊ぶことができるようになっていました。
主人公の置かれた状況のように、今までの経緯を知らなくても目の前のことだけ見れば良いというのはありがたく、システムの変更と相まって入りやすいタイトルになっていると感じましたね。

『ドラクエ』のようなRPG

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『ドラクエ』についても触れましたが、実際にゲーム内で単語として登場するだけでなく、ゲームシステムもかなり『ドラクエ』を意識したもの担っています。
ただのパクリというわけではなく、オマージュというのが正しいのかなと思えるように尊敬とも思える扱いを感じることができるものでした。

戦闘における「自動戦闘」の機能では、「ガンガンいこうぜ」「バッチリがんばれ」「いのちだいじに」「MPつかうな」と同じような機能がありましたし、主人公である春日一番の極技のセリフに「ガンガンいこうぜ!」や「いのちだいじに!」といったものがあるなど、いろいろな箇所に要素が散りばめられています。

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また、職業変更という機能が『ドラクエ』にはありますが、『龍が如く7』では同様の機能をハローワークにもたせています。
職業の変更なのでハローワークというのはわかりやすい、わかりやすいのですが、龍が如くならではの温度感があって、上手い落とし所だなと感じましたね。

これらに限らず、様々なところに散りばめられたRPGっぽさ。
後述しますが、ダンジョンなどは『ファイナルファンタジー』っぽかったりしますし、『ポケモン』を意識した要素などもあります。
様々なRPGをいい塩梅で取り込んで、今までとは異なる『龍が如く』として生み出したのが本作なのだと思わされました。

成り上がりを描いたストーリー

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本作の主人公である春日一番。
最初の章ではチュートリアルを兼ねたあれこれがあるのですが、それを終えると18年間の服役をするところから始まります。
出所から始まる冒険譚、というのもかなり珍しい……というか他に類を見ないと思うのですが、この18年間に起きた出来事がストーリーを進める原動力となり、またプレイする我々の情報をフラットにして一番と同じになるための区切り、ある種の儀式だったと言えるでしょう。

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更に一番は横浜は伊勢佐木の異人町のホームレスのもとへ流れ着き、本当にすべてを失った状態からリスタートすることになります。

お金も無ければ武器も無く、友人など助けてくれる縁も無い。
そんな状況から、ホームレス仲間のナンバや利害の一致から協力関係となった足立など、段々と人の輪を広げ、多くの人に助けられ、目的の達成へとゆっくりと近づいていきます。 

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ソープランドで生まれ、親の顔も知らず、でも「親父」として尊敬する荒川の親分の人情をしっかりと受け継いた一番。
更にはホームレスとなり、知らない町に投げ出され……と本当に何もかもを失ってしまう。
そんな「どん底」から、許せないことは許せないと良い、助けるべきは助ける一番が、ある意味「勇者」となって、横浜を、そして神室町を変えていく……。

題材が題材なので現代社会の暗い部分や汚い部分を映し出すシーンが多くありますが、それだからこそ一番の心根の綺麗さが浮き彫りになる。
そんな物語になっていたと思います。

多くの人達にはそれぞれ思想や思惑があります。
目指したいものもありますし、負けられないものもあります。
意地だけでなく建前もありますし、守らないといけないものもあるでしょう。
そういったものにもみくちゃにされる中で、春日一番という人間が自分を保ちながらだんだんと大きな波を作り上げていき、物語の核心へと迫っていく。

そんな心地よい成り上がりストーリーでした。

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ヤクザという題材で敬遠する人もいるとは思いますが、かなりしっかりと感が抜かれたストーリーなので、是非試してみてもらいたいと思いましたね。

 

戦闘の面白さ

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「戦闘の面白さ」と書きましたが、戦闘自体はそこまで特別なものではなく、思考するコマンドバトルとして面白いのは「追撃」の要素くらいです。
属性などもありますが、あまり重視せずともクリアできてしまいましたしね。

追撃は敵をダウンさせた時に、近くにいる味方キャラクターが追加で攻撃を行ってくれるというもの。
ダウンさせるためにはレベル差が必要になるのですが、それだけでなく追撃が発生するであろう場所の敵を選択して攻撃するような戦い方が必要になってきます。
ただし、奥の敵を攻撃しに行こうとすると途中に居た他の敵に行動を妨害されるという要素もあるので、攻撃対象を選択する順番を考えるような楽しみ方ができる戦闘になっていました。

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それ以外の面白い部分が、「デリバリーヘルプ」ですかね。
簡単に言うと『ファイナルファンタジー』の召喚獣です。
一定のお金を消費することで、デリバリーヘルプを呼び出し、敵に特別な攻撃を行うことができるというもの。
そこで呼び出せるものが結構特殊で、上の画像のようなザリガニやニワトリ、赤ちゃんプレイをするヤクザの親分など、全体的にクセが強め。
サブストーリーを進めることで召喚できるデリバリーヘルプが増えるので、それを集めるのも楽しかったりしますよね。

ちなみに上のザリガニはハサミで敵の鼻をつまむのですが、どんなシリアスなボス戦でも使用できるため、かなりシュールな絵面を作ることができます。

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プレイ済みの人だったらわかると思いますが、沢城のカシラがこんな表情するわけがないのに……みたいなこともできますからね。

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また、そこまでは多くないですが、特殊な敵との戦闘もあります。
上で挙げたのは巨大重機との戦闘。
ショベルカーと戦うってなんやねんって話なんですが、それも実現しちゃう。そう『龍が如く7』ならね。

この項目の最初にも書いた通り、戦闘の仕組み自体は特別ではありません。
ただ、龍が如くナイズドされている部分はありますし、3Dでの戦闘であるが故に追加されている要素もあります。
状態異常に風邪とかビビリとかありますからね。あと酔い。

特別ではありませんが、しっかりと作られていて安心して遊ぶことができる。
ただ、自分たちの色を出すことは忘れない。
手堅く、そして世界に馴染むような戦闘になっていると感じました。

 

数々のミニゲーム・サブストーリー

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『龍が如く』といえば、本編だけでなくミニゲームやサブストーリーもたくさん遊ぶことができるのが特徴の1つ。
それは今作でも変わらずで、様々な遊びが散りばめられていて、メインの話を進めるのを忘れてしまうほど。

私はせんべい屋の社長になってからの会社運営が面白くて、そちらを一気に進めてしまいましたね……。
良い社員がほしいのでそのためにサブストーリーを進めることもありましたし、かなり本腰を入れて遊んだんじゃないかと。
メインストーリーは完全に放置してましたからね……。

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他にも『ポケモン』ならぬ『スジモン』を図鑑に集めてほしいというサブストーリーや

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基本知識や龍が如くについての知識、更にはSEGAについての知識などを問う資格試験もありますし、

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睡魔を撃退して映画を最後まで鑑賞するミニゲームや

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どこかで見たことがある(訴訟されそう)なゴーカートレースなんかもあります。

他にもスロットや花札、麻雀や将棋などのゲームもありますし、本当に多様なミニゲームがそこらじゅうで待ち構えているので、一度ハマってしまうとなかなか抜け出せない状態になることも。
それによって特別なスキルやアイテム、仲間を手に入れることもありますし、無駄にはならないんですけどね。
メインの話だけを進めるのは誘惑に負けない強い気持ちが必要ですし、そもそも色々遊びながら物語を進めていく方がこのゲームの楽しみ方かなとも思うので、 是非色々とぶらつきながら遊んでみてもらいたいですね。
多分どこかには貴方好みのミニゲームがあると思いますので。

 

さいごに

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他にも印象的なボス戦や、会社経営の手法など、書きたいことは山程あるのですが、書きすぎても読みにくいものになってしまうと思うので、このあたりで終わりにしておきます。

ストーリーの密度が濃く、オマージュも多く取り入れられていて、更にかなりの量のミニゲームやサブストーリーが散りばめられている『龍が如く7』。
その量の多さに面食らってしまうこともあるとは思いますし、少なくとも私は困惑しました。
また展開もかなり独特で、ヤクザの下っ端から服役してホームレスになって、ソープランドで働いて横浜を仕切っているヤクザたちと戦って、せんべい屋の社長になって、政界へ進出して……みたいな感じで、ざっくりした説明だと何を言っているのかわからないよ状態。
それでも、実際に遊んでいるとストーリー展開はしっかりしていますし、それ以外の要素も面白いしで、おかしなところが無いっていうのがおかしなところ。

今までの『龍が如く』シリーズを遊んでいた人はそれはそれで楽しめると思いますし、未プレイであっても気にせずに楽しむことができるので、もし少しでも気になる部分を見つけられたらプレイしてみて下さい。
クリアまでは45時間くらいかかりましたが、プレイして損はないですし後悔もしないと思いますので。