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アニメ化も決まった『七つの魔剣が支配する』を読んでほしいので紹介する


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こんにちは。譲治です。
ここ数年ラノベからすこし離れているというか、ガンガン新しいものをキャッチしに行くことが減っているのですが、その中でも『錆喰いビスコ』『Dジェネシス』など個人的に好きで面白いと思えるものとはいくつか出会えていて。その中でもかなり好きなのが今回紹介する『七つの魔剣が支配する』なんですよね。

1巻は特にキャッチーというか、ある種ネタ的でもある掴みから始まるのですが、それを踏み台にして一気に面白くなっていくような、でも明るいのではなく仄暗い部分も強いというかそういう作品で、私の友人もこういうの結構好きなんじゃないかなって感じてるんですよ。なので、なるべくネタバレはしないようにしつつ……でも1巻の部分は色々話しちゃうとは思うんですが、面白い部分を紹介していこうと思います。

七つの魔剣が支配するとは?

七つの魔剣が支配する (電撃文庫)

名門キンバリー魔法学校。新入生を迎えるのは満開の桜と魔法生物のパレード。主人公であるオリバーもその歓迎を受ける魔法使いの卵の一人だ。

だが歓迎ムードはとある事件によって幕を下ろす……。だがしかし、それは同時に魔窟とも言えるキンバリーの生活の幕開けでもあった。仲間たちと魔法の学び舎で学びつつ、地下迷宮や怪物じみた上級生、そして亜人種の人権を巡る闘争、そして日本刀を提げるサムライ少女ナナオと出会い……。

二人の魔剣を巡る物語が始まろうとしていた……。

 

『七つの魔剣が支配する』はファンタジー世界が舞台の魔法の物語です。
この世界の魔法は杖を使って唱えるものでもあるのですが、ただの杖ではなく剣としても機能する杖剣を用いるのが一般的。というのも、魔法は強力ではありますが、近距離戦等では魔法を使わない一般人の剣の速度に太刀打ちできなかった過去があるから。

そのようにして扱う魔法を学ぶのは7年生の学校キンバリー。
そこでは数多の魔法使いがそれぞれの魔道の探究に勤しんでおり、主人公のオリバー=ホーンも新入生としてそこに加わるところから物語が始まります。

魔法ものでありながらも、魔法同士の対決よりも魔法を用いた剣戟によって決着をつける場面が多く、また魔法・魔道の暗い部分を強く押し出した作品ということもあり、真理を見出すために狂気的とも言える探求者が多く登場するのも魅力と言えるんじゃないでしょうか。例えば4年生のオフィーリア=サルヴァトーリは強力な異形の魔獣を産み落とすことのできる魔女。文字通り魔獣を自身の身から産み出す様子は人間から逸脱した様相ですが、キンバリーの上級生ともなればこれくらい普通になっていくというのだから恐ろしい……。

魔法というものの探究、魔剣を巡る争いなど、学生という立場ではありながらも、1人の魔法使いとしてこの世界に踏み込んでいくオリバーの様子と仲間との成長が描かれていく物語が、『七つの魔剣が支配する』という作品なのです。

1巻について

全体について簡単な説明をしましたが、次は1巻について。
最初にも書いたように1巻はかなりネタ的な要素が強めです。

7年生の魔法学校、そしてトロールの暴走、非魔法使い出身の同級生。これらが最初に登場するのですが、これって何か聞いたことありませんか……?
そう、ハリー・ポッターと似通っているんですよね。魔法を扱う学園モノということで、ハリー・ポッターを意識したのは一目瞭然。パクリだなんだと言いたくなる人もいるでしょう。ただ、ちゃんと読めばわかりますが、これは掴みであると同時に周到に用意されたカモフラージュになっているんです。
掴みとして最初に見知った設定が投げかけられた形。その後は多めのアクション要素と和気あいあいとした雰囲気で、このまま進んでいくと錯覚させられます。構成としては最初に模擬戦闘でナナオの特殊性を描き、中盤には共闘によるガルダ戦、そして終盤にはミリガン先輩とのやり取り。戦闘の描写では単純な剣戟だけでなく、論理的な戦いの構築や特性を説明しつつの魔法の行使など、オリバーという秀才キャラを活かし、読んでいる側も流れを理解、または理解した気になれるような描き方がなされます。
また、オリバーのキャラクター性も本作の本性を隠すのに一役買っていて、真面目で博識、研鑽も忘れず、それでいて仲間への面倒見も良い。良く言えば万能型、悪く言うと器用貧乏。苦手なことといえば(本人はそうは思っていないけども)魔法コメディを好んではいるもののセンスが無いということくらい。簡単に言うと、出来たやつ、いい人なんですよね。

いや、これらのことは間違ってないですし、話自体も構成も良い。
でもこれらに目を奪われているとプロローグで起きていた出来事を忘れてしまう……。
つまりこの物語には、裏に隠れた潮流が存在するんですよね。

初めて読んだとき、途中の段階で既に結構楽しめていた自覚はあったのですが、エピローグを読んで一気にハマったのを感じました
よくある魔法モノでも、単なる学園モノでもなく、魔道の仄暗さが織り混ざった物語。それを思い出すというか、気がつく瞬間でした。

まだ読んでいない人や途中で止まっている人は、ぜひ1巻の最後まで読んでみてもらいたい……話はそれからということで。

さいごに


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今回は紹介ということで、ネタバレもありますがなるべく詳細は避けつつ好きなところを書いてみました。ぼかした箇所が多いのでわかりにくいものになってしまったかなとは思いますが、言いたいことは唯一つなので覚えて帰ってください。

「最後に一気に来るから、まずは読んでみて」

ハリー・ポッター感のあるキャッチーな設定だけで押し切るネタモノではなく、それらを隠れ蓑にした多重構造になっている作品です。まずは1巻読んでみてもらえると嬉しいですね。
さらに2巻以降は表も裏も更に物語が進んでいき、オリバーの在り方自体についても深掘りしていくことになります。現在9巻まで出ているのですが、物語はまだまだわからないことも多く、楽しみな部分がたくさん。
アニメ化も決まったのでこのタイミングで予習的に、またはアニメを見て面白いと思った人が原作へ、という流れで読む人が増えると良いなと思ってます。