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実写映画版『映像研には手を出すな!』を見るためにアニメと漫画を視聴した話

映像研には手を出すな!(1) (ビッグコミックス)

こんにちは。譲治です。
9月に公開される実写映画版『映像研には手を出すな!』。
これを万全の態勢で視聴するために、アニメと漫画をしっかり摂取したので、その感想を書いていこうと思います。

ちなみに乃木坂のファンではないので、そのあたりには触れません。
あしからず。

アニメ『映像研には手を出すな!』


TVアニメ「映像研には手を出すな!」PV 第3弾【1/5(日)24:10~NHK総合テレビにて放送開始】

まず最初に見たのはアニメ。
一時期周囲で話題になっていたこともあり、見やすかろうということでアニメを選択しました。
アマプラでレンタルできたってのも大きいですね。

浅草みどりの昔話から始まり、金森さやかとの掛け合いに繋がり、そして水崎ツバメとの邂逅へと進んでいく流れがとてもわかりやすく、さらには舞台装置を使うなど芝浜高校の特別感を出すことも忘れない。完璧な流れですね。

アニメ版を初めて見たときに驚いたところは、設定やアニメーションから始まる妄想世界の描き方です。
手書きの世界の中で、思い描いたものを形にしながら、その中に入っていく部分なんですが、アニメという媒体でアニメを描くという強みを遺憾なく発揮した演出で、見ていてこれは強すぎると感動してしまいました。
妄想世界であるがゆえに、その中の効果音が全て自分たちの口で言っているものというのも、実際に絵に起こしながら設定や動きを想像して、没入して……という様子が目に浮かびますよね。

また、作り上げたアニメの写し方もかっこよくて、完成後のお披露目の際には見た人が衝撃を受ける様がそれぞれの反応だけでなく周囲への影響のようにして描かれるのもアニメの凄まじさの表現として素晴らしいものだったと思います。

でも個人的には7話が好きなんですよね。
水崎氏がアニメーションのどういうところが好きなのか、最高なのか、こだわりたいのか、その思いを全て語るのですが、熱量がそのままダイレクトにぶつかってくるようなセリフで勢いで飛んでくるので、見ているこちらまで熱くなってしまうと言いますか。
他のメンバーが何をしたくて、何が好きで、という話もあるのですが、その中でもやっぱり圧が違うというか。
水崎ツバメがどんな人物なのか。その全てが描かれていたのかなと思えて好きになってしまう話だったと思っています。

ただ、アニメ版の全てが良かったのかと言われるとそうでは無いんですよね。
最後の芝浜の街を舞台にしたアニメ制作は、正直間延びしていたように思いますし、そこまで面白い展開ではなかったというか。
最後の話としては盛り上がりにかけたんですよね。あの河童の話は。
悪い話ではない。というのはわかっています。
でも、引っ張った割には最後はしっとりと終わるような展開で、まぁそれも映像研らしいのかもしれませんが、弱いなと感じてしまったんですよね。
制作したアニメの内容ではなく、そこに至るまでの流れと結果があんまり一致しているようには感じられなかった。

アニメだけの設定だと、ロボ研のアニメを作ったときの水崎の癖の話とか、ちょいちょい入ってきていて、それはすごい良い味を出しているんですよね。
ただ、最後だけはちょっと上手く行かなかった……。
そこだけが残念でしたね。

 

漫画『映像研には手を出すな!』

映像研には手を出すな!(1) (ビッグコミックス)

アニメを見終えてモヤモヤを抱えてしまったので、すぐに漫画にも手を出しました。
原作だとどうなっているんだろう?という好奇心が大きかったように思います。

漫画を読んで改めてアニメ版の凄さを感じました。
漫画でも当然良いシーンは良いのですが、アニメをアニメという媒体の強みを使って描いた妄想世界のシーンはやっぱりアニメだからこその凄さがあったのだと再認識させられましたね。

ただ、アニメにするときにスポイルされた要素がいくつかあって、当然ではありますが原作の強みと言うか、原作を読むことの良さみたいなものを感じることができたのかなと思っています。
例えば顧問の先生の言葉とかね。
結構良いこと言うんですよ、あの人。
アニメだとしっかり見てくれている大人(ただしずっとゲームをやっている不思議な人)ってくらいだと思うんですけど、漫画だと人生経験から来ると思われる言葉が響くと言いますか。

あと、漫画を読んでアニメの最後のところが原作だとどうなっているのかを確認したのですが、該当する原作3巻では作ったアニメはアニメ版で途中まで作ろうとしていたものくらいのボリューム。
というか、もっと短くて、戦闘するだけのものだったんですよね。
原作においては、このアニメ制作は浅草みどりが「演出」というものに自覚的になるためのきっかけに過ぎず、ストーリーを本格的に作るのはまた次の話になっています。

 

アニメ版では、話数や展開が理由で芝浜大戦を最後の話にするために、複数の話を織り交ぜて1つの話にしたのだろうと思います。
原作とは少し違った話を見ることができるという点で、アニメ版の良さだとも取れますし、私みたいに物足りなさを感じた人間からすると、やっぱり原作のままやってほしかったなという気持ちにもなりますね。

 

映像研には手を出すな!のいいところ

アニメ版と原作である漫画版に触れて、映像研の良さだと感じたのは「噛み合う3人のやり取り・関係性」です。

自分一人では何もできない。環境が揃わないと動き出せない浅草みどり。
アニメーションを作りたいのだけど、場所が無い水崎ツバメ。
利益を得るために、自分は作ることのできないアニメを作るために2人をうまいことお膳立てをする金森さやか。

この3人が上手くハマり、動き出したことで、映像研のアニメーションづくりが動き出します。
誰か1人足りなかったらこのような流れにはならない。
そう断言できるほどの関係性です。
それを本人たちは友情などとは呼ばず、仲間だとは言う。
1つの目的に向かって進むための仲間として、一緒に作りたいものを作り続ける姿はかっこよく、そして少し羨ましくもあります。

 

映像研を立ち上げる際に金森が言っていますが、高校生である彼女たちはモラトリアムに守られ、失うものの無いノーリスクの状態。
それでも始められなければ、きっといつまで経っても始められないでしょう。
また、アニメ版のオープニング「Easy Breezy」には「覚悟決めたなら やったらいいじゃん どんなもんだ!」と言う部分があるのですが、これ映像研の突き進み方を言い表しているように感じるんですよね。
やりたいなら、やるって決めたなら、やっちまおうぜ!みたいな。
そういう強さというか、勢いを感じて、自分も同じようにやりたかったことやってしまおう!という気持ちになれるんですよ。
こういう気持ちの良い話って良いですよね、ほんと。

 

さいごに


映画『映像研には手を出すな!』本予告【公式】

冒頭に書いた通り、実写映画版を見るために予習として見たり読み始めた映像研。
ですが、実際に読み進めてみるとかなり勢いがあり、若く青く、それでいて力強い……そんな作品でした。
漫画とアニメ、どっちが良いか?と言われるとなかなか答えに困るくらい、どちらも素晴らしい出来だと思います。
上に書いた通りで、アニメ演出は素晴らしいですし、漫画の方は深い話があったり、全体的な展開、成長がしっかり作られていて物語としてよく出来ていると思いますので。

今はドラマ版も見始めていて、これもこれで気になっている箇所があるので、全話見終えたら改めて感想をまとめたいと思っています。
気になっている人は是非見て、一緒に感想を語らいましょう。