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ゲームレビュー:A Plague Tale: Innocence 中世ヨーロッパの暗黒時代を下敷きにしたダークファンタジー

ペスト。
黒死病とも呼ばれ、1300年代にヨーロッパでパンデミックを引き起こした。
原因となるペスト菌をネズミが伝播したことで、大きく感染が広がっていき、死者は1億人以上にのぼる。

そんな大パンデミックが起きたフランスを舞台に、異端審問とペストをゲームナイズしながら描くのが、今回紹介する『A Plague Tale: Innocence』です。
舞台設定もあってかなり陰鬱とした雰囲気ですが、だからこそその中をサバイブしていく様子が映えるというもの。主人公のアミシアと弟のユーゴ、そして協力者として出会うルカやメリーたちと協力しながら、様々な脅威へ立ち向かって行きます。

A Plague Tale: Innocenceはどんなゲームなのか?

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私がプレイしたのはPS5版ですが、もともとはPS4・XboxOne用のタイトルとして発売されています。
開発はAsobo Studio。日本語っぽい名前ですがフランスの会社です。

続編もすでにリリースされていて、その名も『A Plague Tale: Requiem』。今回紹介する『A Plague Tale: Innocence』の後、ユーゴの症状の原因を探る旅路が描かれます。そしてこちらはThe Game Awards 2022にて、ゲームオブザイヤーやベストナラティブなど、様々な賞へのノミネートもされていて、プレイしておいて損の無い作品となりそう。

そんなシリーズの1作目となる『A Plague Tale: Innocence』ですが、総プレイ時間10時間未満でクリアまで到達することができました。
もちろん、やりこみ要素となる花集めや珍品探しまで行ったらもう少し時間は掛かりそうですが、それでも15時間はかからないと思われます。
『FF7R』や『バルダーズゲート3』のような大作をガッツリやるぞ! という気持ちで始めるとすぐに終わってしまって肩透かしを食らいそう。ただ、少しアクションアドベンチャーで遊びたいな、くらいの心持ちでやる分にはちょうどよいゲームですね。

ゲームの流れとできること

物語は父親とアミシアが森を散策するところから始まります。
明るく、きれいな風景……それが次第に変化していく冒頭の展開は、ドラマや映画などのプロローグとも言えそうなきれいな流れ。「この先、なにか起こるんだろうなぁ」と思いつつもゲームを進めていくと、最初の異変が訪れます。
それは愛犬であり猟犬であるリオンの死。
それもただの死ではなく、地面に引きずり込まれるようにして、何者かに殺されてしまうというもの。

領主である父は、兵を集め、森の異変を突き止めようとするも、異端審問官たちに襲われ、殺害されてしまいます。

そう、このゲーム、ネズミだけでなく異端審問官との争いも重要な要素
何らかの意図で、アミシアの弟のユーゴを攫おうとしているようで、領地だけでなく様々なところで主人公たちへ襲いかかります。

それに対してアミシアができるのは隠れること。
背の高い茂みに隠れることで、敵に発見されにくくなります。

また、鉄の鎧やフライパンなど、設置されているギミックに石を投げ当てると音が鳴り、そちらへ敵をおびき寄せることが可能。
これを使って敵を上手く移動させて、先へ進んでいくのが基本的な流れです。

ただ、どうしても敵を倒さなければ先へ進めないようなシーンもあります。
近接攻撃の手段を持たないアミシアにもできる攻撃方法がスリングショットです。

敵を狙って撃つことで一撃で倒すことが可能という強力な武器なのですが、準備に少し時間がかかるのがネック。
基本的には上手く隠れて進みつつ、どうしても倒さなければならない場面でスリングショットを使う、というのが良いんでしょうね。
(色々アイテム消費すれば敵を倒しやすくなるので、それに物言わせて結構ガシガシ倒してましたが……)

ネズミもネズミで、ペストのキャリア……というよりは、生物を食い荒らす怪物として登場。リオンを食い殺したのもネズミですし、イノシシや人間も大群で襲い、またたく間に骨だけにしてしまうような凶暴な生き物です。

こいつらに有効なのが火などの明かりで、上手く利用してネズミを回避するのが大事。火の近くには近づかないので、これを使ってネズミを追い払ったり、出てこれないよう閉じ込めたりして対処する必要があります。

異端審問官などの人間がステルスの要素だとしたら、ネズミはパズル的な要素ですね。(ステルスもパズル的ではありますが)
ネズミをどのように移動させて道を作るのか、近寄られないためには何が必要なのか、ということを考えつつ、襲われないよう対処していくことになります。

兵士もネズミも一定以上近づかれると死亡してしまう(体力の概念がない)のが心もとないものの、パズルやステルスの失敗がはっきりするのでゲーム的にはわかりやすいと思います。
体力でごり押すみたいなことができない方が、パズル的にはフェアですもんね。

ダークファンタジー要素

最初に書いた通り、ゲームは黒死病の流行った時期を舞台としつつも、ファンタジーな要素も盛り込まれています。
それがユーゴの血に流れる「マキューラ」という存在
その血を求めて大審問官がユーゴを探している古代の悪魔に関連する何かとのこと。
(色々と物語は語られているのですが、ステルス中で意識できないときに話されることが多く、あまり頭に入ってきませんでした……

ネズミの群れの動きもファンタジー的ですし、史実を下敷きにした上で描かれるダークファンタジーとして受け取るのが良さそうです。

さいごに

総評としては、面白いゲームでした。

先日の記事でも書いたように、構造としては『The Last of Us』が近いですかね。
あのゲームはアクションアドベンチャーのお手本になっていると思うので、まぁそりゃそうか、という気もしますが。

プレイ時間も短めで、その中でわかりやすいパズルやステルスを体験することができたので程よい満足感があります。
短時間でサクッとプレイできるアクションアドベンチャーを探しているのであればおすすめです。
ただ、普通に購入するとコスパが悪いと感じる人もいるかも……。
そういう方は2019年のゲームですし、セールなどを狙ってみるのも良さそうですね。

最初の方にも書いたように、大きな賞にノミネートされた続編『A Plague Tale: Requiem』もあるので、そちらもどこかでプレイしてみようと思います。

アクションアドベンチャーのレビュー記事はこちら

www.pastime-log.com

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