ごはんと同じくらい大事なもの

ごはんを食べるのと同じくらい生きるために大事なものたち。

スーサイド・スクワッドを描く2作品を見たのでどちらが面白かったのかを書いていく


www.youtube.com

こんにちは。譲治です。
世の中がもうすぐ公開になる『ドクター・ストレンジ マルチバース オブ マッドネス』への期待でいっぱいなこの時期に、何故か今頃になって『スーサイド・スクワッド』と『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』の2作を連続で見たので感じたことを色々書いていこうと思います。

一応先に言っておくとアメコミ自体はあまり読んだことがなく、ヒーロー映画もDC系はあまり見てこなかったタイプです。MCUはめちゃくちゃ見ているんですけどねぇ。

スーサイド・スクワッドとは?

スーサイド・スクワッド:ゴーイング・セイン (ShoPro Books DC UNIVERSE REBIRTH)

まず最初にスーサイド・スクワッドとはなにか?という話から。と言っても最初に書いた通り原作を読んでいるわけでもないので、ネットで拾ってきた情報や映画をもとにした話をいくつか書いていくだけですが。

一言で言ってしまうと「スーパーヴィランで構成された米軍の特殊部隊」で、正式名称はタスクフォースX。タスクフォースというのが任務(タスク)のために編成される部隊(フォース)なので、そのまま読むと特別な任務部隊ということになります。スーパーヴィランというのはアメコミに登場するスーパーヒーローの対極の存在として、特殊な力や天才的な知能を持った悪役キャラクターのこと。そういったヴィランを集めた、世の表舞台に出て来ないような任務をこなす部隊がスーサイド・スクワッドなのです。

2016年公開の『スーサイド・スクワッド』では結成の理由として、スーパーマンの死後、超人的な者たちへの対抗策という話が語られています。組織を主導したアマンダ・ウォラーは、メタヒューマンと戦うことができ、そしていざとなったら使い捨てることも考慮して服役中の犯罪者を集めて部隊を作り上げていました。これは2021年の『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』でも設定を継承していて、序盤の上陸作戦の参加メンバーも同様の方法で集められていましたね。

スーサイド・スクワッド(2016年)


www.youtube.com

ではそんなスーサイド・スクワッドを取り上げた映画はどうなっているか、という話です。まずは2016年の『スーサイド・スクワッド』から。

ウィル・スミス演じるデッドショットを中心としたヴィランたち。予告編にも登場し、スーサイド・スクワッドの顔となっているハーレイ・クインや炎を操るエル・ディアブロ、ワニのような肌を持つキラー・クロック、ブーメランを扱うキャプテン・ブーメラン、そして考古学者に取り憑いた古代の魔女であるエンチャントレスが登場。そこにリーダーとしてチームを指揮するリック・フラッグ大佐がスーサイド・スクワッドのメンバーとなる。
事件の発端はエンチャントレスの弟、インキュバスの封印が解かれたこと。当然エンチャントレスによる手引があったのだが、それを知らずに撃退任務にエンチャントレスを同行させた結果、逃走され事件が大きくなってしまう……。

2016年の『スーサイド・スクワッド』では大きく分けるとデッドショットを中心としたヴィランサイド、リックを接点とした米国政府サイドに分けられます。ただ、各メンバーの掘り下げは弱く、中心となるデッドショットと華であるハーレイ・クイン、そして話を進めるために必要だったというくらいのエル・ディアブロくらい。話の展開として、デッドショットが決心するための要素(娘の話)があるのはわかりますが、ディアブロはスーサイド・スクワッドメンバーがやる気になるためのきっかけに過ぎず機能的過ぎるように感じられましたし、ハーレイ・クインの話はジョーカーへの想いを知る上では意味がありましたが、それが終盤の展開に大きく寄与していたとも感じられません。
また、政府サイドもウォラーが高圧的で冷酷な人物であることはわかりますが、リックについてはエンチャントレスの依代である考古学者ジューンと恋仲であることから視聴者が推測するような作りになっていて、メッセージを押し出すような作りにはなっていませんでした。
もっと気になった箇所をはっきり書くと、キャプテン・ブーメランの仲間云々の設定は活きていなかったし、カタナの突然の自分語りは精神が不安定な人にしか見えず、登場人物の必要性が謎。というか不要。無駄な人物が多く、初期構想から結構テコ入れしたのでは?と邪推してしまうほど。

それでもハーレイ・クインの吹っ飛び具合はいい味出していますし、十分魅力的だとも感じていて、謎のゾンビ映画もどきになってしまったのはもったいないと感じられる要素でしたね。
まだ見ていないのですが、『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』の方はハーレイが主役。この魅力にフォーカスした作品なのであれば、かなり期待できるんじゃないでしょうか。

ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結(2021年)


www.youtube.com

個人的にはいまいちだった『スーサイド・スクワッド』でしたが、同じ題材を扱う『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』はどうだったのかというと……こちらは最高でした。

監督・脚本は『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』を手掛けたジェームズ・ガン。ならず者が集まったガーディアンズを、鮮やかな色味と素晴らしい選曲、そして独特な演出で魅せてきた監督です。言ってしまうとスーサイド・スクワッドも同じような凸凹集団ですし、近いものがあるのかもしれません。

今作は前作から一部の登場人物を引き継いでいますが、別作品という位置づけ。続編というわけではないので、気にせず視聴することができます。
続投となっているのが、ウォラー、リックと言った政府サイド。あとはハーレイ・クイン、キャプテン・ブーメラン。さらに今回はたくさんのヴィランが登場し、最初の上陸作戦でサクっと退場していきます。

最大の違いはここで、2016年版では悪役たちが頑張る割りと真面目なお話として描かれていましたが、2021年版はその路線を大きく変更。吹っ飛んだ奴らがある意味ギャグのように死んでいくわけです。それは最初のイタチの死に方から明確で、明らかにブラック・コメディとしての引き出しを全開放している様子が映し出されます。
更にグロテスクな描写も多くかなり過激。体が切られたときは臓物が見えますし、焼けただれたり突き刺さったりも豊富なので、スプラッタ系が苦手な人には少しつらいかもしれません。

全体通して『デッドプール』に近いものを感じた本作は、ヴィランものとしてわかりやすく吹っ飛んでいる様を描いていて、見ていて混乱すると同時に心地よく、かなり気持ちの良い映画になっていたように感じましたね。

それと死亡関連でいうと、2016年版の登場人物を退場させることで、2016年版を倒すという意志が示されているようにも感じていて。
まずは、キャプテン・ブーメランが死亡し、リックはダサTシャツでかっこよさを失った上で殺害され、ウォラーは死にはしないもののゴルフクラブで殴られ昏倒。ハーレイ・クインは流石にそのままですが、2016年版の登場人物は大部分がリタイアした状態に。
別の映画だ!という強い主張が様々なところで表明されている、そんな風に感じましたね。

BPM高く繰り広げられる吹っ飛びヴィランたちの応酬、コメディらしく間の抜けた雰囲気のあるゆるいパート、『キングスマン』を思い出すようなお花畑、それぞれの能力を使ったかっこいい戦闘シーン、そしてブラックなオチ。
すべてがうまく絡み合っていて飽きることがなく、最高の展開でした。
ケチを付けるとしたら邦題の「“極”悪党、集結」はダサくない?というくらいですかね。でもそれもそれで味なのか?

さいごに


www.youtube.com

2作品を連続で見たことで、どちらの方が良いのか、そして魅力的な部分はどこなのかがはっきりと見えたように思います。少なくとも私にとっては『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』の方が面白く、最高のシーンに溢れていたと感じています。

新スースクの方は、その登場人物であるピースメイカーを主役としたドラマの配信が最近始まっていて、こちらもジェームズ・ガンが脚本を担当し、いくつかの話は監督として参加しているとのこと。U-NEXTに入っていないので今は見ることができないのですが、どこかのタイミングで他のプラットフォームでも公開されないかなぁと少し期待して待っています。評価も結構高いみたいなので、もし見れる人がいたら見てみると良いかもしれません。

『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』はDC映画を見るきっかけ……になるかはちょっと微妙でしたが、いい映画でした。どちらかと言うとジェームズ・ガンへの興味が高まった気がしますが……。