あけましておめでとうございます。譲治です。
長らく放置していたこのブログですが、そろそろ再始動させたいと思い筆を取りました。
今まで以上に拙い文章になっているかと思いますが、温かい目で見守っていただけるとありがたいです。
今回レビューを書く『WILL:素晴らしき世界』は新年1本目のゲームとして選んだものです。
プレイ時間はだいたい10時間~12時間ほど。
Steam、PS4、Switchで販売されています。
WILL:素晴らしき世界ってどんなゲーム?
あなたは神様を信じますか?
と言われると宗教色が強くなってしまうでしょうか?
ですが、なにか困ったことに直面したとき、特に自分ではどうしようもない事態に遭遇したときにいるかどうかもわからない神様に祈った経験がある人は多いのではないでしょうか?
例えば受験結果を確認するとき。
例えば好きな人への告白を決意したとき。
例えば負けられない戦いに臨むとき。
例えば誘拐犯に捕まり監禁されてしまったとき。
最後のは一般的にはあまり無いとは思いますが……。
『WILL:素晴らしき世界』はそんなときにより良い結果をを祈られる神様になって運命を変えてしまうゲームです。
主人公は願(ユアン)という女の子となり、手紙として届いた祈りを処理していきます。
処理というのは手紙の文章の入れ替えを行うことができるペンを使って順番を変えていくこと。
1通の手紙の中だけでなく、時には同時に届いた2通の手紙の文章を入れ替えてしまうこともあります。
そのようにして運命を変えて、望まれた結果にしていくことで物語は進みます。
もちろん、望まれた結果にすることが良いことであるとは限りません。
良い結果を作ったとしても、別の悪い出来事を呼び起こしてしまうことがあります。
また、別の場所ではその良い結果が原因で悪い出来事が起きてしまうかもしれません。
逆もまた然りで、悪い結果になることで最終的には良い結果にたどり着くこともあるでしょう。
それらを受け入れつつ、神として願いを叶えていく必要があるのです。
感想
ADVをここしばらく遊んでいないので、久々に遊んでみようと思って手にとった、というかダウンロードしたのがこのゲームでした。
実はとあるゲーム情報サイトにレビューが載っていて、それを読んだときから気になっていたゲームでもありました。
私が興味を惹かれていたのは、『文章を入れ替えて他人の人生に干渉するシステム』『比較的ボリュームが少なく気軽に遊びやすいこと』の二点。
まず1つ目の『文章を入れ替えて他人の人生に干渉するシステム』について。
ゲームは上でも書いた通り、手紙という形で届く人間からの祈りを文章を入れ替えることで改変し、望まれた結果へと導くことで進行していきます。
たとえばこのような手紙が来た場合、プレイヤーが行えるのは指定された文章の入れ替えのみです。
入れ替えを行うことで、『照明が消えて暗くなってしまったテニスコートに鍵を落としてきてしまった』という結果は消えて、『暗くなる前にテニスコートをあとにした』という結果に上書きされます。
プレイヤーはもとの文章や変化後の文章からより望まれた結果になるように文章の順番を試行錯誤していくことになるのですが、これが結構難しいんですよね。
最初の方はまだわかりやすいので良いのですが、後半になると選択肢の数がかなり膨大になっていきます。
更に順番の指定や同時に配置できない文章、特別な意味を持った文字色などのルールが追加されていくため、狙った結果を出すのが困難になっていきます。
もちろんまったくわからないというわけではありません。
ただ私の場合、最初はヒントとなる赤文字を頼りにやっていましたが、後半になるとまずは適当に入れ替えてみた上で、その結果何が起こるのかを見ることでヒントを収集してから本命を探すような流れになってしまっていました。
人によっては総当たりのようにして探すこともあると思いますし、実際最後トロフィーコンプリートを目指す際は総当たりを繰り返すようなこともしました。
更に言うと終盤の難易度の高い選択肢は文章の構成としても不自然なものになることがあり、『手紙という媒体をベースにしたストーリーテリング』の弊害となっているようにも感じられました。
中国産のゲームなので翻訳周りでどうしても上手く行かなかった箇所なのかもしれませんが。
2つ目の『比較的ボリュームが少なく気軽に遊びやすいこと』についてですが、これは本当に手頃なのでちょっと遊びたい人にもってこいです。
プレイ時間はだいたい10時間~12時間ほどで、結構濃密なストーリーを複数読むことができます。
群像劇のいいところですね。
ある程度コツを掴んでしまえばトロフィーコンプリートも簡単に狙えるのでトロフィー集めをしたい人にも持ってこいでしょう。
ただ、複数の話が絡み合うため記憶力に自身がない人はなるべくまとまった時間をとって遊ぶことをおすすめします。
運命の変化、そしてバタフライエフェクトが根幹に関わってくるストーリーなのでどこかで起きた別の出来事を見返すことが必要になる場面もあり、そこがどこなのかわからないと結構苦戦すると思いますので。
また、プレイ前にはあまり気にしていなかったのですが、各キャラの人生を追うのが面白かったという点も見どころとして挙げておきたいと思います。
最初は甘酸っぱい青春を送るのかと思っていたジミーが高校を卒業した後ゲームの大会賞金で生活をするようになるのにも驚きましたし、その後の展開も衝撃的でした。
リ・ウェンとブン・カイレンのやり取りには惹かれるものがありましたし、それと並行して進んでいくカルロスとアリシアの人生は壮絶としか言いようがありません。
様々な環境、様々な人生があり、それらが不思議なところで絡み合い、そして離れていく。
他人の一生を改変していくのは一種の後ろめたさのようなものを持たせます。
そうであったとしても、より良くなると信じて話を進めていこうと思えるような、そんなキャラクターたちだったと私には思えました。
それと最後に、散りばめられている細かいネタについても書いておきましょう。
このテニスのボーイ君やアンハッピー・ツリー・フレンズのように突然もじりなどのネタに出会うことがありましたが、見つけると嬉しかったですね。
さいごに
いろいろ書きましたが「面白くなかったのか?」と聞かれたら「いや、面白かった」と答えるでしょう。
自分の選択によって変化する結果や登場人物の行く末を見るのが面白く、また悲しくもありました。
言葉を入れ替えるだけでこれほど結果が変化してしまうのかと驚くことも多々ありました。
他人の人生を変え、それに関わる人達の運命も左右するADVに興味がある人は、ゲーム最初に出てくる注意文に従いつつ遊んでみてもらいたいです。
きっと特別な体験に驚くことができると思いますので。