
こんにちは。譲治です。
今日は自分の生きる「世界」と他の人の「世界」について考えるきっかけになる……そんな物語を描いてくれたゲーム、『ムーンレスムーン』についての感想を書いてみようと思います。
2時間くらいでクリアできるゲームですが、ゆったりと楽しむことができるので夜寝る前に少しだけ……みたいなプレイのしかたも良さそうに感じました。
ムーンレスムーンとは?
Kazuhide OkaとKAMITSUBAKI STUDIOが組んで開発されたテキストアドベンチャーゲーム。
物語を進めるなかで特別な分岐などはなく、ゆったりと物語を読み進める。そんなゲームです。
主人公のヨミチは夜になると別の世界に迷い込んでしまいます。
例えば月の街、原っぱ、洞窟の喫茶店……。
いくつもの世界を生きる。そんな彼女を描いた物語です。
Kazuhide Oka氏というと、『ナツノカナタ』や『午前五時にピアノを弾く』のようにアドベンチャーゲームを開発している方のイメージが強く、本作も同じような雰囲気の作りになっています。

ゲームの特徴として、物語の中から次の物語へと繋がる言葉を拾い集め、自分でつなぎ合わせていく、軽いパズルのようなものが途中途中で登場します。
テキストを読み進めていると、たまに現れるRIDDLEパート。
ただ、このパートで表示される内容も、ちょっとした会話だったりして。
ヨミチの考えやヨミチと他の登場人物のやりとりを読むことができるというのも面白いですし、そこから次の会話へ続けていくというのもあまり無いパズル体験でした。
あまりむずかしいものではないので、パズルだと身構えてしまうと肩透かしを食うかも。
軽い気持ちでプレイするくらいがちょうどいいと思います。
最初に書いたようにゲーム自体は2~3時間程度でクリアできるくらいのボリューム。
なので、物足りないと感じる人もいるでしょう。
ただ、ゆったりと雰囲気を味わいたい人に向けては、ちょうどいい過ごし方のできる物語だと感じましたね。
2024年の8月にSteamでリリースされましたが、その後Switchでも発売済。
自分の過ごしやすい場所でプレイできるハードを選ぶのが良いと思います。
ただし、音を出せる・聞ける環境を整えておくのが大事なのでご注意を。
楽曲と物語
本作の特徴は「KAMITSUBAKI STUDIOに絡むアーティストとの連動」といえるかもしれません。
プレイしていただくとわかると思いますが、このゲームは読むミュージックビデオとでも言うような印象なんですよね。
ゲームをプレイしているとこのように曲が流れ始めるのですが、この曲自体かなりストーリーテリングに絡んでいるというか、曲を中心に物語が作られているというか。
個人的には曲を聞くためにゲームを進めているような、そんな気持ちになるほど。
ヨミチの感情が曲に描かれているように感じられるのがとても心地よい……。

夜の雰囲気や、少し不安な空気感。
そういったものが目だけでなく耳も通して伝わってくる。
「どの世界で生きるのか」
SFチックに語られていますが、今の私達が生きるこの世界でも同じようなことは起きていて……。
他の人に強制される世界の窮屈さに押しつぶされてしまいそうな人もいると思います。
でも人は色んな世界で生きていける。
それは思想によるものかもしれませんし、コミュニティによるものかもしれません。もしくは、他の方法で世界を増やすことができるかもしれません。
自分が生きたい世界を自分で選べる。
1つの世界だけで生きなくても良い。
自分の「世界」について考えさせられるような、振り返させられるような、そんなきっかけになるお話だったと感じました。
さいごに

主人公のヨミチと同じように、夜の時間を使って少しだけ別の世界を覗いてみる。
そんな遊び方がこのゲームに合っていそうな気がします。
読むミュージックビデオとでも言うような体験も相まって、他のゲームではなかなか体験できない不思議なストーリーテリングでした。
正直値段を考えるとボリューム不足だと感じる人もいるかもしれません。
でも私は、このゆったりとした時間を過ごせたことを考えると特に不満には感じませんでした。
曲を聞いてみて好きだったら、Kazuhide Oka氏のシナリオが好きだったら、イラストや雰囲気が好きだったら、試してみてもらいたいですね。