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ゲームレビュー:ダレカレ わかりやすい操作で感情を追体験できる怖くて悲しいインタラクティブノベル

少女が目を覚ますと父親がいなくなっていた。
代わりにいた見知らぬ男。
噛み合わない会話。
差し出される謎の薬。

何が起きているのか、男は誰なのか。
そして、少女の身に何が起きているのか。

『ダレカレ』はこの少女に寄り添い、物語を体験するアドベンチャーゲーム。
操作も面白く、物語を体験するための機構として上手くできている……そんな感想を持ちます。
全3チャプターの物語は短いながらも繋がっていき、すべて読み終える頃にはずっしりとした読了感を得ることができるでしょう。

今回はそんな『ダレカレ』について、感想をまとめてみようと思います。
ネタバレはなるべく避けますが……何か出ちゃったらごめんなさい。

ダレカレとは?

youtu.be

『ダレカレ』は講談社クリエイターズラボから配信されているアドベンチャーゲームです。
開発はTearyHand Studioというところ。

ストアに記載されている説明文では、人の認知の「歪み」を体験するインタラクティブノベルとのこと。
個人的には認知の歪みというよりは、「主題となっているもの」の一端を感じることのできるゲームと感じましたが。

物語は少女が目覚めるところから始まります。
いつも通りのはずが、なにか違う。そんな違和感を覚えながら朝の支度をしていると、いつもだったら父親がいるはずのところに見知らぬ男が……。

会話は噛み合わず、美味しくもない食べ物を食べさせられ、そして謎の薬を差し出される。
恐怖を感じた少女は、必死の思いで家から逃げ出すことに。

このような状態から始まる、謎の多いアドベンチャーゲームでした。
公式の書いている通り、全3章で約1時間で全てプレイすることが可能。
SteamとSwitchで遊ぶことができます。

ボタンを使った特別な体感

トレイラーにも登場しますが、このゲームは白いボタンをクリックしたり、スライダー的に動かすことで進行していきます。
例えば上記の画像の場合、歯ブラシを手にとって歯磨き粉をつけてから歯を磨く必要があるのですが、右手の動きや左手の動きがボタンごとに決まっているので、正しい順番を見つけ出さなければなりません。

このようなパズルのようなゲーム的なボタン使用が様々なシーンで登場します。

男に見られないように逃げるような場面では、だるまさんが転んだのようにタイミングを測ってボタンを押したり離したりをする必要があります。

ボタンを押すという操作だけで、ゲームプレイに様々な変化が生まれるようになっていて、それだけで面白いというのが良いところ。
進めるたびに次はどのような仕掛けが待っているのか、と楽しみな気持ちでプレイすることができました。

……と、ゲームとしての面白さについて離してきましたが、このボタンを使った仕掛けはゲームとしての要素以外にも関わってくるものだったりもします。
というよりもそれがこのゲームの大事なポイント。

例えばドアを開けなければならない場面では、たくさんのボタンが登場。
ボタンは動き周り、正解となるボタンは1つだけ。
SEとして聞こえる少女の粗い息遣いも相まって、焦りや恐怖を感じることができます。

恐怖表現以外にも後半ではスライダーを使うことで会話を表現するような場面があったりもします。
様々な遊び方と一緒に物語における感情の変化や行動自体がボタンを使ったゲームと上手く紐づいていて、ボタンをクリックしたりスライドさせるというシンプルな操作をしているだけなのに少女の感情とリンクしていく作りになっているのが本当に上手な部分だと感じましたね。

短編小説のような物語

冒頭にも書いた通り、本作は3つの章で構成されています。
全てプレイしても1時間足らず。
ですが、その中で段々と話が繋がっていき、真相が見えてくる流れはとても綺麗だと感じました。

そして、それは残酷でもあります。
ゲームをプレイしていて久々にしっかり泣いてしまったんですよね……。
温かみを感じるが故に、怖くて寂しい。

物語の内容については深くは触れません。
ぜひ実際にプレイして、実感してみてもらいたいです。

さいごに

主題となっているものについては、正直どう受け取るべきなのか悩むところもあります。
私としては出来事ではなく、その怖さや寂しさの一端に触れることで、意識が変わったような気がしており、体験としては良いものだったと思っています。
トラウマを刺激されることもあるかもしれない……と考えると、万人に何も言わず進めるのも躊躇われますし、当事者以外がどこまで触れて良いものなのか、エンタメとして消費してしまっていないか、など考えるべき箇所もあるでしょう。
それでも、考える切っ掛けを作ってくれたゲームだと私は感じています。

辛く悲しく残酷なものだからこそ、しばらく心に残り続けることになりそうです。

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