シュミログ

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ゲームレビュー:ABZÛ 海の中をゆっくりと泳ぎ、触れることのできる水族館のようなゲーム

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こんにちは。譲治です。
いろいろなゲームをやっていくと言いつつも、意外と時間が取れなくて小粒のゲームばかりをプレイしています。
今回レビューを書く『ABZÛ』も短編のゲームで、自分は2時間ほどでクリアできるものでした。
そんな忙しい人に優しいゲーム『ABZÛ』がどんな体験だったか書いていこうと思います。

ABZÛってどんなゲーム?


『ABZÛ』 プロモーションビデオ

ABZÛは『風ノ旅ビト』を作ったクリエイターたちが作ったゲームです。
海を自由に泳ぎ、その美しさや堪能することができるダイビングアドベンチャーというのが正しいんでしょうかね?

プレイヤーができる操作は自分で泳ぐこと、大きな魚に掴まって一緒に泳ぐこと、そして物に触れ起動することくらいです。
自由に泳ぎ回り探索することができますが、本当にそれくらい。

また、謎解きなどのパズリックな要素もかなり少ないです。
探索すべき場所さえわかればそれでおしまいということがほとんどです。

なのでアクションゲームを求めている人には物足りないでしょうし、パズルゲームが好きな人は肩透かしをくらうでしょう。

上で書いた通り、プレイ時間は2時間ほど。
もっとゆっくり探索したとしても3時間あればクリアできてしまうと思います。

手に汗握る攻防も無ければ頭を捻らせて解く謎も無い……。
ただ、そこにあるのは広い海。

そんな癒やしゲーがこのABZÛです。

PC版もありますがPS4版が2000円くらいで配信されています。
言語に依存するようなゲームではありませんが、PS4版は日本語に対応しているので気になる人はそちらを買うのが良いかもしれませんね。

 

感想

「雰囲気ゲーと言えば?」と聞かれたとき、どのゲームが思い浮かぶでしょうか?
『ICO』でしょうか?『Flowery』とかもそうですよね?『rein』も雰囲気ゲーになりますよね?
ですが私がまず最初に思い浮かべるのはやっぱり『風ノ旅ビト』です。


風ノ旅ビト PS4™ プロモーショントレーラー

風ノ旅ビトは一面砂の世界を舞台にしたゲームで、文字や言葉による直接的な情報を排除しています。
プレイヤーが操作するキャラクターは移動と飛行と音と光を出して何かにアクセスすることだけ。
それらを用いて、プレイヤーは先へと進んでいきます。

ただ、このゲームの素晴らしさは『風景の綺麗さ』でもなければ『直接的な情報を排除したこと』でもありません。
もちろん『難解なパズル』でもありません。
このゲームの素晴らしさは最初のステージで『知らないプレイヤーとマッチングして、一緒に探検していくこと』なんですよ。

どこの誰とも知らない人と、気がつけば一緒に旅をしていく。
自分が見つけたものを教え、また教わりながらゆっくりと先へと進んでいくんですね。

ゲームIDなども表示されないため、相手と直接コミュニケーションを取ることはできません。
できるのは『ぽわん』と音がする何かにアクセスするための操作や、その場でジャンプして見せることだけ。
それらを駆使して相方とコミュニケーションを図り、一緒に進んで行きます。
もちろん相方に思うように伝えられないもどかしさもあります。
ですがそれ以上に、相方と理解し合えた時に感じられる快感が凄まじくて。

相手が違うので何度プレイしても全く同じ結果になることはありません。
だからこそ、風ノ旅ビトは自分だけの体験を得ることができる素晴らしいゲームなんですね。

 

では、同じクリエイターが作ったゲームであるABZÛはどうだったでしょうか?

先に結論を述べておくと、残念ながら私には刺さりませんでした。
素晴らしく綺麗な世界を自由に探索して回る。
それ自体はとても楽しい体験でした。
ですが、再びプレイしようと思えるようなものでなかったんですね。

 

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ABZÛは本当に綺麗なゲームです。
ゆっくり揺蕩うも良し、水を掻いてすばやく泳いでいくも良し。
近くを泳ぐ魚の群れを眺めたり、一緒に泳ぐこともできます。

本作も風ノ旅ビト同様文字や言葉による表現はなく、自分が泳ぎ見つけたものからストーリーを知っていくようなゲームです。
また、これまた同様に操作はかなりシンプルで、泳ぐか何かにアクセスするかしかありません。

ただ、大きく違う点があります。
それはシングルプレイ専用ということ。

風ノ旅ビトの素晴らしさで説明した通り、人と一緒に遊ぶことはそれだけで特別な自分だけの体験を生み出すことができます。
ですがABZÛにはそれが無いんですね。

マルチプレイが全てというつもりはありません。
別の方法でナラティブな体験を生み出すこともできるでしょう。
ですが、本作にはそのような仕組みもありませんでした……。

この点がとても大きく、ABZÛを『特別な体験のできるゲーム』から『ダイビングシミュレータ』にしてしまった原因なのではと感じました。

 

ここまでマイナスイメージを書いてきたので、ここからは個人的に良かったポイントを書いていきましょう。

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ABZÛで上げるべきはやっぱり綺麗な海の描写ですよね。

四季を感じさせるような変化が海の中にあり、それによって飽きること無く遊泳を続けることができます。

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そこに生きている生物を眺めているだけでも本当に気持ちが良くて。
上の画像はクジラと一緒に泳いでいるシーン。
一緒になって海の深い所へゆっくりと潜っていくのは、普段の生活では得難い一体感でした。

もちろんクジラだけでなく、他の魚の群れとも一緒に泳ぐことができます。
背中に掴まり一緒に泳いだり、群れの一員になって泳いだり……ダイビングの心地よさってこういうものだろうなぁと思えるような体験をすることができますね。

また、ゲームのテンポが綺麗に作られているのも忘れてはいけません。
ただ広い海を探索するだけの単調なものではなく、明るい海から暗い海へ行ったり、広い場所から狭い場所を通ったり、潮流に流されてすごい速度で泳いでいくようなこともあります。

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たった2時間ではありましたが、その中には海が見せる様々な変化が詰め込まれていました。

それともう一つ。
プレイしているうちに気がついたことなんですが、段々と操作がうまくなっていくのを感じるのも気持ちいい体験でした。

最初はまっすぐ泳ぐことさえままならなかったんですが、プレイを続けるうちに上達していくんですよね。
スピードを上げるコツや細かい制御、海上へジャンプで飛び出す方法を覚えてくると更に面白くて、思ったとおりに海の中を泳ぐ面白さに魅入られていました。

 

さいごに

求めていたゲーム体験とは違ったため、マイナスイメージ先行で書いてしまいましたが、水族館の中を泳ぎ回るような体験はなかなか珍しくて面白いゲームだったと思います。

ゲームを終え、感想を書きながら思ったのですが、このゲームはディズニーランドなどのアトラクションに近い体験なのかなぁと。
ゴンドラに乗ってゆっくりと進んでいくアトラクションで、綺麗な景色を見ていたら突然流れが速くなって……でも最後はまた綺麗な景色で終わる。
ゲーム全体のテンポ感がなんとなく似ているように思うんですよね。
なのでもっと刺激がほしい人は富士Qに行けば良いんです。

ゆっくりと穏やかな時間を過ごしたい、癒やされたい。
そんな人に刺さるゲームのように思いましたね。